大規模リストラに社員がネットで抗戦、中国の動画サイト企業で騒動に。

2011/05/25 08:47 Written by Narinari.com編集部

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先日、中国大手動画サイトの運営企業で起きたリストラ劇が波紋を広げている。このリストラ劇、従業員とのトラブルの様子が微博(中国版ツイッター)や動画などで報告されるなど、従来の中国ではなかった展開を見せており、多くの関心を呼んでいるようだ。  

中国ニュースサイト・騰訊科技などによると、今回のリストラ劇の経緯はこうだ。5月18日午前、米ナスダックに上場している中国オンラインゲーム最大手・盛大網絡の傘下にある中国動画サイト「酷6」が業績不振のため、全社員の20%にあたる従業員(対象は営業部門のみ)のリストラ策を発表した。この大なたに「酷6」の副総裁・カク志中氏が激怒。微博で盛大グループの大規模リストラを批判し、「皆で立ち上がって会社の“暴挙”と戦おう」と社員を鼓舞したことで、結果、免職されてしまう。

続けて5月19日午前、会社役員がリストラ対象の従業員との調整を図るため「酷6」のオフィスを訪れた際に、役員を守るために雇われていた用心棒とリストラ対象の従業員の間でいざこざが発生。「暴力リストラ反対」のプラカードを掲げて抗戦している様子や、もみくちゃになっている様子は複数の従業員によって撮影され、youkuや土豆網などの大手動画サイトにアップロードされたほか、メディアでも大きく報じられた。

その後、「酷6」が営業部再編成に関する詳細をネットで明かし、同日午後には「酷6」の弁護士が「今回の騒動は元副総裁のカク氏と従業員が結託して起こしたものだ」と発表。同社の利益を守るため、徹底的に抗戦する構えを見せている。

こうした企業内のトラブルが動画や微博によって拡散するのは今の時代ならでは。実際、中国のネットユーザーの関心は高く、あまりの反響の大きさに、政府が介入する騒ぎへと発展した。また、一連の騒動を受けて盛大網絡の株価も下落。ある意味、カク氏と従業員たちの抗議行動は大きなインパクトを与えたとも言える。

「酷6」側は従業員がリストラに同意しない場合、一方的に契約を解除する旨を通知。また、今回の騒動で同社が直接的な被害を受けたときには、そうした事態を招いた社員を提訴することも明かしている。

中国のネットユーザーの大半は、リストラされた従業員を擁護するもの。「盛大グループや『酷6』のやり方は卑怯だ」など同社への批判が相次ぎ、さらに中国メディアも特集サイトを開設するなど、“一会社内で起きた出来事”では済まされない状況だ。また、労働争議などが相次いでいる中国で、今後同様のやり方でこうした問題が深刻化することを危惧する声も聞かれている。

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