空から落ちてきたトイプードル、大けが負うもさらった鳥が命を救った?

2011/05/18 17:46 Written by Narinari.com編集部

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カナダのある動物愛護団体に運び込まれた1匹のトイ・プードルが、いま、珍しい不運に遭遇したと注目を集めている。この犬、老人ホームの庭に“空から落ちてきた”そうで、発見時には大きなけがを負っていた。背中についた爪痕から大型の鳥によって空にさらわれたと見られているが、愛護団体の職員はこの鳥が「犬の命を救ったかもしれない」と話しているという。いったいなぜなのだろうか。    

カナダ・ブリティッシュコロンビア州の動物愛護団体「BC SPCA」によると、このトイ・プードルが奇妙な出来事に遭遇したのは5月2日のこと。この日、老人ホームの庭に空から落下してきた犬は、瀕死の状態になっているところをホームの看護師に発見されたという。すぐに同州サンシャインコーストにあるSPCAに連絡が届き、この犬を検査してみると、肋骨が複数折れていたほか、背中には爪でやられたような傷跡が認められた。体の状態と発見時の様子から、SPCAではトイ・プードルが鷹や鷲のような猛禽類にさらわれ、「老人ホームの庭の上空で落とされた」と見ている。

幸い、看護師やSPCA職員の迅速な対応が功を奏したようで、現在犬は回復に向かっているそうだ。職員らは発見されたのが5月だったことから、犬に「メイ」と名前を付け、手術を受けさせるために必要な体力を取り戻すよう懸命の世話を続けている。しかしメイのけがを完全に治すためには、さらに多額の費用が必要とも。市民からの寄付によって運営されているSPCAにとっては負担が大きく、そのため珍しい不運に遭遇したメイの話を公開することで、広く手術費用を募ることにしたようだ。

ただ、メイが抱えている問題は今回の一件によるけがだけではない。発見当初、職員らはメイの飼い主を特定しようと試みたそうだが、メイにはIDチップは埋め込まれておらず、現在までに飼い主と名乗り出る人は現れていない。また、メイの歯はひどく腐った状態だったほか、足の爪が伸び過ぎて肉球に食い込んでいた。職員が「どれだけの期間、飼い主の世話を受けずに彷徨っていたのか分からない」と話すほど、厳しい環境で生活していたことを体の状態が物語っているという。そのため、SPCAに運び込まれるきっかけを作った鳥が、皮肉にも結果的には「命を救ったかもしれない」と考えているそうだ。

SPCAでは落下時のけがの手術に加え「すぐに歯科治療も必要」として、必要な手術費は「4,000カナダドル(約33万円)」と試算。職員はメイを救うために多くの寄付が集まるよう期待を寄せているが、その職員らの思いは、メディアを通じて多くの人に届き始めているようだ。

メイが辿った数奇な運命はカナダだけでなく欧米メディアでも伝えられ、主に北米の市民を中心に多くの問い合わせが寄せられているという。この動きにSPCA職員は「本当に素晴らしい」(カナダ放送局CTVより)と喜びの声を語っているものの、現時点で集まっているのは目標の半分となる2,000カナダドル(約17万円)ほど。メイの引き取りを希望する人も数人現れているそうで、SPCAはメイに必要な治療が終わり次第、新たな飼い主を決める。メイがこれから幸せな生活を送れるよう、まずは1日も早く寄付が目標に達するよう願いたいところだ。

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