病室で叶えた母の最後の願い、同級生の力も借りて息子の“卒業式”実施。

2011/04/28 15:09 Written by Narinari.com編集部

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もうすぐ命が尽きようとする肉親を前にして、最後の願いを叶えてあげたいと思うのは家族にとって当然の心理だろう。米フロリダ州でいま、肺がんと闘い、昏睡状態に陥っている女性がいる。家族は予め聞いていた彼女の願いを叶えるために奔走し、今年高校を卒業予定の末っ子の卒業式を、周囲の力も借りて病室で決行した。

米放送局WJXT-TVなどによると、この女性はフロリダ州ジャクソンビルのホスピスに入院しているメアリー・ヴィレットさん。残念ながら、いま「肺がんとの闘いに負けている」(WJXT-TVより)状態に陥った彼女は、最近は家族に対する反応も見せなくなっていた。6人の子どもを産み、7人の孫を持つに至った偉大な母と、いよいよ永遠の別れが近づいて来たことを悟った家族は、予め聞いていた願望のうちの2つを叶えるべく、数か月にわたり準備を進めてきたそう。そして4月21日、身動きができないメアリーさんのもとに、親族や末っ子のブレイクくんの同級生らが集まり、母の願望を叶えるイベントが行われた。

メアリーさんの体調を考慮して、医師が許可した時間は「45分だけ」(米放送局CBS系列WTEV-TVより)。まず最初に行われたのは、夫ローリーさんとの20年目の結婚の誓いだった。それを見守ったブレイクくんは「父も、母も嬉しそうに見えた」(WJXT-TVより)と語り、感慨深かったよう。改めて夫婦の愛を確かめ合った両親の姿を見ると、今度は2つ目の願望を叶えるべくブレイクくんが主役となり、母の病室にガウンと角帽を被った同級生たちを招き入れると、彼自身の特別な卒業式を始めた。

ブレイクくんの卒業を見届けたいという、2つ目の願望も叶えられたメアリーさん。本来、米国の高校では夏休み前の5月頃に卒業式が行われるのが一般的だが、「遅過ぎて待てない」(WTEV-TVより)との判断により、病室での“卒業式”を行うことにしたそうだ。協力して集まった同級生たちも式の正装を着て演出し、ブレイクくんには用意した仮の卒業証書が手渡された。

このときの状況は、姉マンディー・セクレストさんによって動画で撮影されており、ブレイクくんの卒業を同級生たちも歓声を上げて明るく元気に祝っていた様子。そんな子どもたちのパワーに触発されたのか、メアリーさんは「卒業証書があるよ」と声をかけられると、手を伸ばす反応を見せたという。これには「この3日間で母が見せた唯一の反応」と、マンディーさんも驚いたようだ。

周囲の大きな協力もあって、メアリーさんの願いを叶えられたと、胸を撫で下ろす家族たち。ブレイクくんは、多くの同級生が集まってくれたことを「心満たされる経験」と感謝の気持ちでいっぱいだという。

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