容疑者の人気投票をホームページで実施、米保安官事務所の企画に批判も。

2011/04/23 15:31 Written by Narinari.com編集部

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米国のある保安官事務所は、最近、管内で逮捕された容疑者の顔写真を公式サイトで公開する試みを始めた。そして「今日の顔写真」と題した人気投票企画も実施。事務所側はその狙いを「市民に事件への関心を高めて欲しい」と説明しているが、罪が確定していない段階での容赦ない対応には、懸念の声も上がっているという。

この人気投票を始めたのは、アリゾナ州にあるマリコパ郡保安官事務所。事務所を取り仕切っているジョー・アルパイオ保安官は、以前から「犯罪に対して妥協しないスタンス」(英紙デイリー・メールより)を持つ人物として知られているという。例えば、この界隈で逮捕された容疑者たちは、軍の巨大な古いテントに収容。夏場に気温が上昇して不満を漏らした収容者には「イラクにいる兵士たちは50度近いテントで生活し、何の罪も犯してないが静かにしている」と一喝し、正統性を主張したそうだ。

ほかにも盗難で逮捕した容疑者にピンクの下着を着させるなど、アルパイオ保安官の独特な行動は米国内で話題となることもしばしば。いまや「保守派の間で人気の人物」(米放送局ABCより)となっているそうだ。

そんなアルパイオ保安官率いる事務所が、今回始めたのが容疑者の人気投票。事務所の公式サイト内には、容疑者の顔写真を並べた投票ページが開設されている。ページのトップには投票数順に上位7人の顔写真が表示されており、3日以内に逮捕された容疑者の顔写真は容疑名のリンクをクリックすればすべて見られる仕組みだ。投票の性質上、どうしても人気になるのは個性的に見える、もしくは美しい女性の容疑者が目立っている。

投票を行う意図についてアルパイオ保安官は「近所の人が逮捕されてないか見て欲しい」と説明。また、投票が注目を集めることで、過去の未解決事件の容疑者が特定される可能性にも期待を示し、容疑者たちへの罰則的要素と市民への注意喚起を兼ねた目的を込めているとのこと。

ただ、こうした容疑者の人気投票には懸念の声が上がっているのも事実だ。米紙アリゾナ・リパブリックでは、「有罪であると証明されるまで彼らは無実」とし、有罪判決を受けていない容疑者たちが「娯楽目的で表示され、嘲笑を受けている」と、事務所の対応を批判している。

過去には在留資格が確認できないヒスパニック系住民たちを厳しく取り締まり、地元議員から大きな反発を招いたこともあるというアルパイオ保安官。逮捕した収容者には公共建築物の塗装や道路修理、墓地での埋葬といった作業を積極的に行わせるともいい、社会秩序に対して確固たる信念を持っているのは間違いない。米国内でも賛否が分かれているものの、彼がいる限り、この保安官事務所では今後もこうした独特の対策が続けられそうだ。

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