先日、客に頼まれて古い椅子を修理していた英国の男性は、作業中に、椅子の中から古い1枚の紙を見つけた。そこにはフランス語で文章がつづられており、妻の友人に翻訳をしてもらったところ、それは遠い昔のラブレターだと分かったそうだ。
英放送局BBCによると、この手紙を見つけたのはグロスタシャー州テュークスベリで家具店を営むグラハム・シンプソンさん。彼のもとに先日、フランスで購入したという古い椅子の修理を依頼する女性客が現れた。シンプルながらも立派な雰囲気を漂わせるその椅子は、フランス南部の村サン=マルセル=シュル=オードにある、150年以上の歴史を持つ旧家で見つけたものだという。彼は依頼を引き受けると、各部品を外して丁寧に修理を始めた。
すると、肘掛けの修理に取り掛かった際に、小さく折りたたんだ1枚の紙を発見。BBCで紹介されているその紙は茶色く変色しながらも、鉛筆で書かれた文字はしっかり読めるほど残されていた。シンプソンさんは女性客に手紙の存在を知らせると、彼女は手紙に心当たりがないか、椅子を購入した家の家族に手紙を送ったそう。一方、見つけたシンプソンさんは書かれているフランス語の意味が分からず、その内容に「興味が湧いた」結果、Facebookに手紙の写真を掲載した。
それを見た妻ローラさんの友人であるフランス人が手紙を翻訳。書かれているフランス語は現在使われている言葉とは異なっていたため、「約200年前に書かれたもの」と推測されるが、情熱的なラブレターであることがわかった。交際間もない間柄なのか、人の噂話に「心配しないで」と訴え、自分の想いが相手だけに向いていると、表現豊かに言葉をつづっている。
会いたい気持ちは募るのに機会がなく誘えなかったと悲しみ、「自分たちを悩ませる」叔母の声が手紙を書いている間も聞こえていると状況説明をする手紙の主。ひょっとすると、周囲の理解が得られていない中で、密かに愛を育んでいた2人なのかもしれない。だからなのか、文章は相手を求める気持ちがストレートに表れており、「明日は会いたい」「あなたが必要」「好きだ」と惜しげもなく自分の気持ちをぶつけている。
思わぬ形で遥か昔のラブレターに出会ったシンプソンさんは、この手紙が「相手に届いていたと思いたい」と話し、自分もその世界に触れられて嬉しそう。椅子は修理が終わればフランスにある女性客の別荘に置かれることが決まっており、熱い想いが込められた椅子はこれからもフランスで時を過ごすことになりそうだ。