英国で“チンパンジー肉”が流通、闇取引の現実に政府関係者など衝撃。

2011/03/07 15:15 Written by Narinari.com編集部

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道具を使う高い知能を持ち合わせ、愛嬌ある雰囲気で親しまれているチンパンジー。このチンパンジーを巡り、先日英国で驚きの事実が発覚した。同国中部にある市場やレストランなどで違法取引されている肉を調べたところ、その中にチンパンジーの肉と特定されたモノがあったという。

複数の英メディアによると、この事実は2月27日に英政府関係者によって明らかにされたもの。以前よりアフリカから欧州へ野生動物の肉類が違法に流入し、その拡大が懸念されている中で、取引水準審査官が英国中部にあるレストランや市場の店を「急襲」(英紙サンデー・マーキュリーより)した。すると、そこで違法取引により納入されたと見られる肉の数々を発見。検査の結果、一部はチンパンジーの肉と特定されたという。

英国ではこれまでに、違法取引の現場から「ネズミなどの害獣」などの肉が発覚したケースはあったものの、チンパンジーの肉が発見されたのは今回が初めてで、政府関係者も「信じられない」と絶句している状況だ。ロンドン動物学会で、アフリカからの野生動物肉の取引を研究するマーカス・ロウクリフ博士も、「アフリカの市場でも珍しいのに驚きだ」と英国での取引発覚に衝撃を受けている。

ロウクリフ博士によると、近年アフリカから欧州へ違法に持ち込まれる野生動物の肉は急増中。これらの肉はアフリカからフランスのシャルル・ド・ゴール空港に運ばれた後、欧州内の各地へと運ばれ、その量は毎週約5トン弱、年に270トンと推測されている。こうした実態から、ロウクリフ博士は違法に流入した野生動物の肉が「英国中部で売られていたとしても不思議ではない」と話しているが、そんな博士でも、チンパンジーの肉まで英国で販売されているとは想定外だったようだ。

現在、チンパンジーの取引はワシントン条約で厳しく規制されている。絶滅の恐れがあるとして、条約では最も厳しい「附属書1」というリストに記載され、商業目的での国際取引は完全に禁止だ。ちなみにチンパンジーやゴリラといった霊長類の肉の流通量は、取引される肉の「1%未満」と言われているという。

こうした違法取引が止まらない原因として、ロウクリフ博士は野生動物の肉が「単に消費のために流入するのではなく、薬や富を表すステータスシンボルとして扱われるため」(サンデー・マーキュリー紙より)と指摘。また、違法なルートで持ち込まれた野生動物の肉が「伝染病をもたらす可能性がある」として、強い警告を発している。

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