銀行口座から下ろせる金額は、融資などの場合を除き、最大で自分が預金した額というのは当たり前の話。ところが先日オーストラリアの銀行では、システムの不具合により口座残高よりも多くATMで引き出せるトラブルが発生し、これが「お金が好きなだけ出てくる」との噂になってFacebookやツイッターで拡散、ATMに大勢の人が押し寄せる事態になったという。
この問題が起きたのは、オーストラリアのコモンウェルス銀行。豪紙ヘラルド・サンによると、銀行が2月28日夜にデータベースの定期メンテナンスを実施した際に問題が発生した結果、ネットバンキングなど決済サービスなどの利用に影響が生じた。しかし問題はこれだけに留まらず、一部のATMが銀行データベースにアクセスしないまま稼働する不具合も発生。これにより、ATMで預金額以上のお金を引き出そうとする顧客に、指定した金額通りにお金が払い出される状態になってしまった。
不具合が生じたATMは、メルボルンやシドニー、ブリスベーンにある「約40台」とニューサウスウェールズ警察は発表。シドニーのショッピングセンターに設置されたATMでは、銀行から警備依頼の通報を受けた警官が駆けつけると、すでに多くの顧客が殺到しており、ATMはフル稼働のような状況だったそうだ。
また、豪紙シドニー・モーニングヘラルドやジ・オーストラリアンによると、銀行側が問題を把握する以前に、実際に引き出せてしまった数人がFacebookやツイッターでこの現象を報告。不正な引き出しを警告する良識的な意見を寄せる人もいたものの、瞬く間にこの噂は広まり、各所のATMで「長い行列」が見られたという。ただ、騒動を巻き起こした不具合は、事態を把握した銀行側によってすぐに修正され、結局数時間の出来事だった。
とはいえ、金額の大小に関係なく、銀行側は預金額以上のお金を持ち去った人に対して返還を求める一方、警察も「ATMデータや監視カメラから顧客を特定できる」(ジ・オーストラリアン紙より)と警告し、銀行か警察に連絡するよう呼び掛けている。仮に自発的に返還をしなかった場合、お金を引き出した顧客は詐欺罪に当たり、ニューサウスウェールズ州法では「懲役10年の刑」になる可能性があるそうだ。