「おなら」を法律で禁止する国、法案準備のマラウイ政府に反発も。

2011/02/03 11:21 Written by Narinari.com編集部

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アフリカ南東部に位置し、タンザニアやモザンビークなどに囲まれた細長く小さな国マラウイ。この国でいま、制定に向けて準備が進められている法律が話題を呼んでいる。その法律は「空気を汚す者」(英紙デイリー・メールより)を罰するというもの。常識的に考えれば、大気汚染防止に効果を発揮しそうな法律に聞こえるが、取り締まる対象に国民の“おなら”まで含まれているというから穏やかではない。

蘭ニュースサイトAfricanews.comや英紙デイリー・メールなどによると、マラウイ政府は「責任ある、しっかりした市民を形成するため」として、次に開かれる議会での審議に合わせ法案作りに着手。その中で「日常生活の中で、自然発生的に“ガスを出す”ことの非合法化を目指す」複数の法案を提出しようと準備しているという。ただし、この法律は「怠惰、無秩序、泥酔といった間違った行動」を罰するのが目的ともされており、放屁したらすべての人が対象になるというわけではないのかもしれない。

とはいえ、実際に運用が始まってしまえば、どこで生理現象が取り締まられるかわからない上に、誰かの指摘で誤認逮捕される可能性はないのかとの不安は付きまとうところ。Africanews.comでも、マラウイの人たちが「この変な法律に驚いている」と動揺している様子を伝えている。ある人は、放屁した“犯人”を正確に見つけられるのかと疑問を示した上で、「子どもたちが自分の放屁を否定して、大人がしたと反抗するようにならないだろうか」と、子どもへの影響も気になっているようだ。

また、仏ニュースサイトAFRIK-NEWSでは、野党指導者がビング・ワ・ムタリカ大統領率いる与党民主進歩党の強権的な政治手法を批判していると伝えている。この中で野党マラウイ会議党のジョン・テンボ議員は、マラウイでは複数政党制が機能していないと話し、「国民はこの法案の健全性を公平に評価できない」と批判。そして同サイトは、この法律が「合理的な理由もなく」別件逮捕に使われる可能性があるとの見方も伝え、厳格な運用ができるかどうかという点を疑問視しているようだ。

アフリカでは中国資本による事業開発が活発とあって、「なぜそちらより放屁の管理を優先しなければならないのか」と批判も出ているそう。さらに極端な法案作りを進めているのは汚職の噂が絶えない与党議員たちとあって、国民の反発が余計に強くなっているようだ。

中には「公共の場や集会での放屁は、平和への妨げ」と、この法案への支持を口にする人もいるようだが、生理現象はコントロールするのが時として困難な場合もあるもの。周囲に対する配慮は当然必要だが、法律として取り締まることでモラル向上に繋がるのかという点は、誰もが疑問に感じるところだろう。法案が成立するのかも含めて、マラウイの今後が気になるところだ。

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