“売られてきた花嫁”救出劇、ネットユーザー協力で保護も実際は…?

2011/01/28 10:27 Written by Narinari.com編集部

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中国の人身売買を描いた映画に「盲山」(2007年/李楊監督)という作品がある。騙されて農家の嫁として売られた女子大生が、農村で様々な悲劇に遭遇しながらも、諦めずに農村からの脱出をはかるという社会派映画なのだが、このたび「『盲山』を彷彿させる」と話題を呼ぶ一件が起きた。それはネットユーザーが協力して“売られてきた花嫁”を救出したというもの。中国紙南方都市報が伝えている。

この一件の始まりは1月15日、中国の掲示板「天涯雑談」に投稿された書き込みだった。ハンドルネーム“xr69co”は「私の家の近くの2つの村に、地方から2万元で売られてきた2人の花嫁がいます。聞くところによれば、2人の夫は正常ではなく、毎日泣き暮れる日々を送っているそうです」と記し、「自分の代わりにどうか2人を助け出して欲しい」とネットで願い出た。村の具体的な住所を記すとともに、自分自身で直接通報しないのは「身元がバレると報復される可能性がある」からと説明。人身売買組織などから自分や家族の身を守るために、仕方なくこうした手段を取ったとしている。

この書き込みは瞬く間に多くのネットユーザーの関心を集め、2万人以上が閲覧。多くのネットユーザーが支持を表明し、「人身売買で女性の人生を壊すわけにはいかない」「ベストを尽くしてみんなで助け出そう」など、たくさんのコメントが寄せられた。そして何人ものネットユーザーが実際に警察へ通報。地元警察を動かすことに成功し、“売られてきた花嫁”の1人はすぐに保護されたという。ネットユーザーの協力が実を結んだ瞬間だ。

しかし、問題はここからだ。警察の取り調べに対して当の女性は「自分の意思で村にやって来た」と語り、初期の調査では「誘拐ではない」との結論に。また、最初に書き込まれた「2万元で売られて来た」という件に関しても、ハッキリしない状況だという。

警察の調べによると、この女性は広西の出身。現在の夫は身体に障害を抱えているため長い間結婚ができず、彼女が暮らす広西まで結婚相手を探しに来たそうだ。そこでこの女性を紹介されたものの、女性の父親は結婚に反対。その後、女性は結婚紹介所の関係者や親戚など3人の人物に連れられて男性のもとを訪れ、この男性と生活を送るようになり、今に至っているのだという。

現時点では女性の取り調べが完全に済んでいないこと、そしてもう1人の女性の調査結果も公表されていないことから、今回のネットユーザーの行動が正しい行動だったのかどうかは判断が難しいところ。最初の書き込みの主が間違った情報を流した可能性もあれば、“売られてきた花嫁”が恐怖からウソをついている可能性もある。

映画「盲山」では、主人公の女子大生はほかの2人と連れ立って薬草取りのアルバイトに山奥へ出かけ、そこで実は自分が農家の花嫁として売られたことに気が付く設定になっている。この女性の場合も、女性を連れて来た3人はお金をもらってすぐ、その日のうちに姿を消したという。映画では村全体がグルになって人身売買を隠ぺいしていたが、そんな最悪な状況下に置かれていないことを祈りたい。


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