瀕死のワニを助けて仲良しに、体長5メートルの“相棒”と戯れる男性。

2011/01/27 10:13 Written by Narinari.com編集部

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野生の世界では、大型の動物をも川に引きずり込む獰猛なイメージが強いワニ。もちろん世界には大小様々な種類のワニが生息しているが、いずれにしても圧倒的な力で向かって来られたら人間などひとたまりもない。それが分かっているからこそ、もしワニと対峙するようなことがあれば恐怖を覚えるのは当然だろうが、コスタリカには体長約5メートルのワニと水の中で戯れてしまう強者がいるという。この男性は以前、瀕死の状態に陥っていたこのワニを助けて半年間にわたって介抱し、それからというものワニは自然に帰ろうとせず、男性を慕って仲良く暮らしているそうだ。  

この男性は“ターザン・チト”の愛称で親しまれている漁師で、53歳のチトさん。彼が現在、多くの見物客を前に一緒にパフォーマンスを行っている体長約5メートル、体重約450キロの相棒“ポチョ”と出会ったのは20年以上前のことだった。同国東部を流れるパリスミナ川へ友人とボートを出した際、途中で銃で左目を打たれ、瀕死の状態で岸辺に横たわるアメリカンクロコダイルを発見。するとチトさんは、友人に手伝ってもらってボートにワニを乗せ、そのまま自宅へ連れ帰り看病を始めたという。

以前コスタリカ紙チコ・タイムズが行った取材に、「すべての人間が悪いわけじゃない」と分かって欲しくて、看病する気持ちになったと話しているチトさん。彼は連れて来て半年の間、ずっと献身的に世話を行ったそうで、看病の甲斐あって“ポチョ”は元気を取り戻した。やせ細っていた体も生気が蘇ると、チトさんは自宅近くの湖に放とうとしたという。ところがチトさんが家に帰ろうとすると、“ポチョ”も湖から出て彼の後を追いかけてきたといい、これを見て「ワニも柔順になりえる」と確信したそうだ。

いつしかこの話は広がるようになり、仲睦まじい様子を見ようと彼らのもとに観光客も訪れるようになった。そこで2005年から、チトさんは客の前で“ポチョ”と水中で戯れるパフォーマンスを始め、YouTubeにもその様子を収めた複数の動画が投稿されている(「amzing crocodile friend」//www.youtube.com/watch?v=cYb3V1A87C4 など)。ターザンを思わせる腰巻をしたチトさんが勢いよく水に飛び込むと、湖の中ほどに現れた彼の側にはいつの間にか“ポチョ”の姿も。大勢の見物客が柵越しに見守る中、チトさんは“ポチョ”の前脚を掴まえて抱きかかえるような態勢に持ち込むと、“ポチョ”も楽しそうに体を大きく動かし、水面を大きく叩いている。

さらに水辺に上がると、チトさんは自分の頭に“ポチョ”の頭を乗せたり、口にキスしたりと信頼し合っている関係をアピール。ショーの終わりには「あたかも大きなハグをするかのように、彼はポチョの上に乗った」(英紙デイリー・メールより)と、観客も大満足のパフォーマンスを見せるそうだ。米国から訪れた客の1人は、攻撃的な面を見せないワニを目の当たりにして、彼らの間に何らかの信頼関係が築かれているのを感じたというが、それを分かっていてもチトさんが「クレイジーに違いない」と思うと話している。

アメリカンクロコダイルは平均寿命が70年と言われるが、“ポチョ”は推定で50歳近いと見られており、実はチトさんとさほど年齢は変わらない。同じように先行きを気にするような年代に入りつつ、現在ともに幸せを感じていると話すチトさんと“ポチョ”の関係が、少しでも長く続くように願いたいところだ。

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