回転寿司風のエスカレーター? 曲線も自由なループ式「スシレーター」。

2011/01/04 15:57 Written by Narinari.com編集部

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駅やデパートなど多くの建物に設置され、上下階をスムーズに移動できるエスカレーター。街に出ればどこでも見かけるモノだが、英国の大学教授は、ある日地下鉄に乗っていて「なぜ、すべてのエスカレーターが真っ直ぐでなければいけないのか」(英紙インディペンデントより)と考えた。そこで新たな構造のアイデアを捻り、コースの自在性に優れ、いろいろな場所に設置できる「Levytator」なるエスカレーターを考案。その構造は回転寿司のレーンに似ていることから「スシレーター」(英紙デイリー・メールより)とも呼ばれている。

このエスカレーターを考案したのは、ロンドンにあるシティ大学で機械工学を専門にしているジャック・レヴィ教授。レヴィ教授が考え出したのは、丸みのあるステップを使って、上り/下りのスロープが1本に繋がっているループ式のエスカレーターだ。現在多くの場所で利用されているエスカレーターは、終点に達したステップは裏側に隠れ、出発点まで戻る仕組み。ところが「Levytator」は裏側に隠れず、逆方向のステップにそのまま使えるため、従来のエスカレーターに比べて使用するステップが少なくて済み、「コストが下がる」(インディペンデント紙より)という。

また、メンテナンスが「すべて上部から可能」という点は、管理側にとっては大きなメリット。ただし、どこか1か所に異常が起きた場合はすべてが止まってしまい、人が多い場合でも「同じ方向にしか動かせない」デメリットも、インディペンデント紙は指摘している。

ちなみに、横浜のランドマークプラザや大阪・アメリカ村の商業施設「心斎橋BIGSTEP」などには多少曲線になったエスカレーターが設置されおり、すでに乗った経験がある人もいるだろう。同紙では「日本企業は1980年頃から“曲がるエスカレーター”を販売している」と説明しており、これは日本の技術力の賜物。今回のレヴィ教授のアイデアは“曲がる”点においては斬新というわけではないが、ループ式でそれを実現し、コースを自在に設計できるところがミソというわけだ。

シティ大学は、この「Levytator」の実物と仕組みを説明する動画をYouTubeに投稿している。場所の広さや形態に応じてさまざまなコースに対応できる特徴を示すように、動画では公園のような広い空間に設置した場合のモデルも紹介。この動画は今年9月の投稿以降、欧米のメディアを中心に取り上げられたこともあり、再生回数は現在25万回を超えるなど、ジワジワと注目されてきているようだ。なお、デイリー・メール紙によると、その構造が世界でも人気となった回転寿司に使われるベルトコンベアに似ていることから、英国では「すでに“スシレーター”と呼ばれている」という。

レヴィ教授は開発に際し、「従来のエスカレーターは大変発達したが、私たちまっさらな状態から始めている」と、1からアイデアを考え出したことを強調。これまでのエスカレーター技術に捉われずに自由な概念で創り出すことができたため、「本当に便利」(インディペンデント紙より)と、コースの自在性などの利便性に自信を覗かせている。

「Levytator」は英国をはじめ、欧州の他の国や米国、中国でも特許を取得したそう。2012年中頃には、英国の公共施設やショッピングセンターに「設置されるかもしれない」(デイリー・メール紙より)とのことだ。

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