私財投じて1,500匹の犬を世話、退去命令にもめげずにお引っ越し。

2010/12/02 13:59 Written by Narinari.com編集部

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中国・南京に、地元では有名な動物保護活動家の女性がいる。彼女は2002年に犬の保護施設を設立すると、“捨て犬”として行き場を失っていた犬を次々と収容。今では1,500匹を数えるほどの大所帯に成長しているそうだ。  

中国通信社の新華社などによると、この女性は南京で犬と猫の保護施設を運営する哈文進さん。当初、“捨て犬”を見つけては仕事の休みなどを利用して世話をしていたという哈さんだったが、次第に拾ってきた犬の数が増え、休みを利用しただけでは手に負えない状態になったそうだ。そこで一念発起した彼女は、仕事を辞めて犬の世話に専念しようと決意した。

そして2002年7月、南京市内に犬の保護収容施設を設立。拾われてくる犬はその後もどんどんと増え、今では犬1,500匹をスタッフ10人で面倒を見ているほか、同様に猫の収容施設も開き、スタッフ2人が200匹の世話をしているそうだ。それだけの数を世話するとなれば、場所の確保や運営資金もバカにならないもの。施設には、毎月3万〜4万元(約37万円〜50万円)のお金や食べ物などが寄付されるというが、動物の食費だけで1日3,000元(約3万7,000円)ほどが消えるため、日々の運営は大変だ。

それでも犬や猫の世話に尽力する哈さんに、今夏、大きな問題が立ち塞がる。南京市が、哈さんの施設がある場所を農業用地として開発するとの名目で、土地収用の通知書を送ってきたのだ。設立当初は引っ越しを繰り返した施設も、2005年にようやく今の場所に留まって安定した運営をしてきた哈さんにとっては、この一方的な通知は大きな「頭痛の種」になったという。さらに別の場所へ移るとなれば、ただでさえ苦しい施設の資金面に打撃となるのは免れない。それでも哈さんは、通知を受け取るとすぐに新たな土地を探し始めた。

南京市に援助を求める一方で、世話をする犬や猫のために場所探しに奔走した哈さん。その話題は南京市民の間にも広がっていったようで、多くの寄付金や活動を支援するボランティアもたくさん集まった。そして、新たな場所を市内の山に決めた哈さんは、早速施設を建設するために山の開墾に着手。その作業は木を伐採して平地を作り、建物や道を整備するという大掛かりなもので、寄付金もアッという間に減っていき、彼女は自分の家や車、宝石などもすべて売り払い、資金を調達したという。

そして、多くの苦労を経て新たな施設は完成。12月4日、4台の大型バスを手配して犬や猫たちを運ぶ予定だ。資金面など、これからも施設の運営には困難がつきまとうが、哈さんの強い意思と、スタッフの熱意でいつまでもこの環境が守られるよう願いたい。

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