「寝たきり20年」はウソだった? 医師に叱られヨロヨロと立ち上がる。

2010/11/30 11:41 Written by Narinari.com編集部

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中国河北省阜城県八丈村で暮らす36歳の女性・呉桂英さんは、16歳から20年もの間、寝たきりの生活を送ってきた。半身不随の彼女はいつも家族のサポートを必要とし、食事をするのもトイレに行くのも、母親や兄弟姉妹の手伝いがなければできないほどだったという。しかしそんな彼女、本当は身体的に悪いところはなく、立ち上がれることが判明。20年間も寝たきりだった原因は“心の病”と判明し、中国では驚きをもって伝えられている。

中国紙武漢晩報によると、呉さんが立ち上がるまでの寝たきり生活の間には、さまざまな“疑惑の出来事”があった。これまで数回、立ち上がる姿を目撃されたことがあったのだ。

最初に目撃されたのは2008年5月のこと。当時、呉さんは長年にわたって面倒を見てくれていた母親を亡くし、姉の家に身を寄せていたのだが、そこに姪(姉の娘)が休暇を利用して帰郷した。姪は久しぶりに会うおばさん(呉さん)と話をしようと彼女の部屋を訪れたところ、「おばさんが立ち上がった!」と、すぐに驚いた面持ちで泣きながら飛び出してきたという。ただ、そのときは呉さんがベッドに上る瞬間をチラ見しただけだったため、特に問題にはならなかった。

それから数か月後、今度は説明しようのない出来事が目撃される。姉夫婦が仕事のために外出したときのことだ。家を出てしばらくすると、姉は忘れ物に気付いたらしく、家に一度戻らなければならなくなった。するとそこでまさかの光景を目撃。開いたドアの向こうで、部屋の中を歩く呉さんを見たのだ。約20年もの間ずっと寝たきりだと思っていたのに、目の前で平然と歩いている――それがどれほどの衝撃だったのかは想像を絶するほどだろうが、驚いたのは姉だけではなかった。立っている姿を見られたことに気が付いた呉さんもまた驚き、その場で失神してしまったという。

しばらくして意識を取り戻した呉さんに姉は「歩いていたことを覚えているの?」とたずねると、呉さんはまったく覚えがない様子。そのため、立ち上がって歩いたという事実は“怪奇現象”のようにとらえられ、結局それ以上追及されることはなかった。

しかしである。その後、姉の家での生活が長くなるに連れて、呉さんに関する不可解な事実が次々と明るみになってきた。床擦れがないこと、手足の筋肉もそこまで衰えていないことなどなど。そして呉さんの存在をメディアが取り上げたことで、新たな疑惑が持ち上がる。今まで家族が考えもしなかった“心の病”の可能性だ。

2009年1月、メディアを介して呉さんと家族は上海の有名な医師のもとを訪れた。この医師は身体表現性障害に悩む患者を多く治療してきた実績を持つが、呉さんのようなケースを担当するのは初めて。呉さん自身が潜在的に「立ちあがりたくない」という思いを強く抱いていることが、治療のポイントとなった。

まずは根気強く呉さんに問診。するとさまざまな事実が明るみになった。まず、呉さんは8人兄弟の末っ子で、とてもわがままに育てられていたということ。まだ幼いころ、兄弟姉妹は全員が呉さんのことを第一に行動してきたそうで、例えば彼女は叱られると癇癪を起してベッドから離れず、家族に食事を食べさせてもらうようなことがままあったそうだ。そうした家族の対応に味をしめ、いつしか寝たきりのほうが自分にとって「都合が良い」と考えるようになり、気が付くと本当に寝たきりの生活を送るようになってしまったのだという。

医師は当初、立ち上がることがどれほど素晴らしいことなのかを説く方向で治療を試みたが、これは一切効果なし。そこで態度を一変し、「いま立ち上がらなければ、一生このままだぞ」と脅すような、叱るような態度で呉さんに接することにした。

すると呉さんはヨロヨロとだが、自らの脚で立ち上がることに成功。医師の説明では、自分の寝たきりが“ウソ”だと暴露されたことで潜在意識に変化が起こり、それが立ち上がらせる直接の原因になったそうだ。

なお、立ち上がったのは「まだ治療の第一歩」とのこと。その後も治療は続けられ、これからも注意深く呉さんの経過を見る必要があるという。

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