カンニングの自首説得に200人、「そんな試験作ったのが悪い」逆ギレも。

2010/11/28 10:02 Written by Narinari.com編集部

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日頃の成果を試すべき試験で、不正行為がもってのほかであるのは当たり前の話。しかし、大教室で数百人もの学生が一斉に試験を受けるような大学では、厳しい取り締まりが難しいこともあるかもしれない。先日、米国の大学で行われた中間試験で、高い得点を取る学生が多いことに気が付いた教授が、不正行為をした学生に「自首をすれば大学側へ申告しない」と説得。すると試験を受けた約600人のうち、200人もの学生が「カンニングをした」と告白した。もちろん悪いのは学生のほうだが、一方で学生の一部からは「カンニングできる試験を作った教授が悪い」との声も上がっているそうだ。

問題が起きたのは、フロリダ州のセントラルフロリダ大学で経営学を教える、リチャード・クイン教授の講義クラス。米地方紙オーランド・センチネルによると、クイン教授は中間試験で学生たちの得点の高さに気付いたほか、回答のコピーでカンニングをして乗り切ったと自慢している学生の話も耳にしたという。このためクイン教授は、講義を受けている600人の学生たちに対し、不正行為をした人は自首するよう説教を行った。

そのときの様子を映した映像はYouTubeにも投稿されており、ちょっとした話題を呼んだようだ。この中でクイン教授は、不正行為を行った人数をだいたい把握しているとして「こうした行動は許されないし、大目に見ることはできない」と怒りを見せる。その上で、中間試験を受けた600人全員に再試験を課すと言い渡した。

ただし、クイン教授は自ら学部長とかけ合い、自首をして4時間の倫理学セミナーを受ければ不正の記録を残さないと約束。自首をせずに後で発覚した場合、「退学処分もあり得る」(米放送局ABC系列WFTVより)だけに、自ら名乗り出るよう訴えた。これに対し、試験のコピーを使って「カンニングした」と申告したのは全受講者の3分の1にあたる約200人の学生で、さらに自首しなかった学生が「15人いる」とも。結局、中間試験は問題を変更して再度行われ、不正に関係ないことが明らかな学生に関しては「2回の試験のうち、高い得点のほう」(オーランド・センチネル紙)が成績になるそうだ。

誰がどう見ても、今回の件で悪いのは明らかにカンニングを働いた学生たち。ところが、学生側にも言い分があるようで、中には“カンニングされるような試験”を作った教授を非難する声も上がっているという。というのも、クイン教授は学生たちに「中間、期末テストの問題は自分で作る」(WFTVより)と話していたそうだが、実際には授業で使っていた教科書の問題をそのまま流用していたためだ。

これに気付いた頭の働く学生は、教科書の答えが書かれたマニュアル本をネットで探し出し購入。クイン教授の「問題は自分で作る」との言葉はハナから信じず、また、「教授は教科書から問題を出す」ことを以前からのパターンとして知っていたため、マニュアル本がコピーされて一部の学生たちに出回ったということらしい。つまり、教授がしっかり自分で問題を作っていれば、こんなことにはならなかったというのが一部学生の言い分だ。

だからと言って、カンニングが許されるという話でもないはずだが……。

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