バスルームから3週間出られず、水道管を叩いて待ち続けた69歳の女性。

2010/11/26 12:05 Written by Narinari.com編集部

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先日、フランスのアパートに住む69歳の女性は、自宅の中で命を落としかねない体験をした。バスルームに入るとカギが壊れ、そこから出られない状態になってしまったのだ。窓もないこのバスルームで、外部に助けを呼ぶことができない状況に置かれた女性は、いつ来るともわからない救出者を3週間もひたすら待ち続けるハメになった。  

英放送局BBCや英紙サンなどによると、パリ近郊のアパートに1人で暮らす女性に不運が訪れたのは11月1日のこと。女性がバスルームに入るとドアの鍵が壊れてしまい、閉じ込められてしまったのだ。「窓や電話もない」(英放送局BBCより)バスルームからは助けを呼びたくても呼べない状態で、そこから身動きがとれない女性は「近所の人に気付いたもらいたい」と、夜間にずっと水道管を叩いていたという。 

すると女性の目論見通り、この音はしっかり近隣住民の耳に入った。ところが、それを女性が危険を知らせる音だと気付く人は残念ながらいなかったらしい。それどころか、夜中に誰かが夜中に修理作業をしていると勘違いして、それを止めさせるよう申し立てを行おうとしていた人も。ある近隣住民の1人は「住民の中には音に不満を漏らす人もいました。でも、それがどこからの音なのかは全く分からなかったんです」(英紙メトロより)と話している。

こうして女性は1人バスルームに閉じ込められたまま、時間だけが過ぎていった。しかしバスルームだったのが幸いし、食事はなくとも水は確保。寒さはお風呂で使う温水でしのいだという。また、狭い空間に閉じ込められた窮屈さは「シャワーを頻繁に浴び、繰り返し歯を磨く」などをして気分転換を図っていたそう。とはいえ、69歳の女性がいつまでもこの状況で健康のままいられるわけもなく、着実に衰弱していったようだ。

そのうちに、ようやくアパートの住民の中から「最近(女性の)顔を見ない」と話題に上るようになり、11月20日に警察がアパートに呼ばれた。警察官は女性の部屋をノックし、反応を探るためドアに耳を当てると、中からは微かな音。それは助けが来たのを知って「閉じ込められてるの、ここから出して」と叫ぶ、女性の必死の訴えだった。

家に入った警察官がバスルームのドアを壊すと、床に横たわっている女性を発見。ほぼ3週間をバスルームで過ごした女性は、とても痩せて弱り切っていた。すぐに病院に搬送され治療を受けたところ、栄養失調ではあったものの幸い大きなダメージもなく、現在は回復に向かっているという。

警察の調べに、住民らは「休暇で出かけてるのかと思ってました」と話しているそうで、一部の住民が「そういえば最近……」と思ってくれなければ手遅れになっていた可能性も。何がきっかけで自分がピンチに陥るか分からないだけに、こうした近隣との関係や、日ごろから些細なことへも注意を払う大切さを改めて感じさせる一件となった。

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