ボーイング747を解体して家造り、客の「女性的な曲線」の要望に応える。

2010/11/16 17:59 Written by Narinari.com編集部

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自分の家を持つのは、一所懸命働き、ある程度の成功を収めた証として多くの人が憧れるステータス。日々の生活を営む場となるだけに、中にはこだわりの注文住宅を建てる人もいるだろう。米カリフォルニア州で自動車販売店のオーナーをしている女性は、家を建てようと海に近い丘の土地を買った際に、普通とは異なるユニークな家に住みたいと考えた。そこで一風変わった建物を造ることで知られる建築デザイナーに相談。すると、デザイナーが出してきた建築案は、使われなくなったボーイング747型(B747)機を解体し、その部品で建てるというかなり独創的なものだった。現在建築中のこの家は、来年夏までに女性に引き渡される予定だという。   

メルセデス・ベンツの販売店を経営しているフランシー・リーウォードさんは、ロサンゼルス近郊の海沿いの街マリブに、55エーカー(約22万平方メートル)の土地を購入した。そして、そこにはユニークな家を建てようと決め、建築デザイナーのデイビッド・ヘルツさんに相談したという。

彼女からの要望はただ1つ、「建物には女性のような曲線を使い、丸みを帯びた感じに仕上げること」。廃棄物を利用して建物を作る“アップサイクリング”を専門としていたヘルツさんは、要望を受けてすぐに素材探しに着手。彼はすぐに頭の中にアイデアが浮かんでいたそうで、それが飛行機を使った家だった。

彼はまず、役目を終えてカリフォルニア州の砂漠地帯に置かれている中古飛行機を見に行き、家が本当に作れるかどうかを研究。結果「できる」と判断したヘルツさんは、リーウォードさんにアイデアを話して承諾を受けると、中古のボーイング747−200型機を3万5,000ドル(約290万円)で購入する。新品だと2億ドル(約166億円)はかかる飛行機を格安で手に入れたヘルツさんだったが、アイデア実現へは数多くの壁が待ち受けていた。

ヘルツさんの公式サイトによると、全長70メートル以上、幅約60メートルという機体を解体して取れる部品の数は実に450万個。これらの部品をヘリコプターをチャーターして、砂漠地帯の駐機場から移送するのが大変だった。このとき、すべての部品を移送するまでは万が一に備え「夜間に5つの高速道路を閉鎖」(英紙デイリー・メールより)したそう。結果、大がかりな移送大作戦は無事に終わり、材料調達の問題はなんとかクリア。しかし、今度は建築許可申請の問題が残されていた。

許可を得るために、まずは飛行機の部品で家を建てることが法に触れないかを入念に調査。そして、飛行機という変わった部品から建築するため、「撃墜された飛行機と間違われないよう」米連邦航空局を含め「17の機関から承認を受けなければならなかった」(シェルター・ポットより)らしい。こうして着実に問題を片付けていき、リーウォードさんの家は現在ほぼ完成に近い状態まで仕上げられ、2011年には引き渡される予定とされている。

屋根に使われた翼、台所やアートスタジオに活用された胴体部分など、随所に飛行機の特徴が残された家。寝室3つに浴室3つを備えているほか、「コックピットの窓が天窓になっている、高さ約13メートルの瞑想パビリオン」など、使えるところは上手に利用されている。世界に2つとないユニークな家ができ、リーウォードさんも入居を心待ちにしているに違いない。

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