屋根裏で発見の壺が57億円に、出品者もオークション業者も大興奮。

2010/11/13 11:50 Written by Narinari.com編集部

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世界各地で行われるオークションなどで、目が飛び出すような高値で売買されることの多い骨董・美術品の数々。よほどの専門知識がない限りその希少性が分かりにくいこともあり、実際に何億円という金額で落札されたモノを見ても、「なぜこんな値段になるのか」と不思議に思う人は多いだろう。そこまでの金額でなくても、何気なく昔から家に置いてある花瓶や壺が実は高価なモノだった――なんて経験をしたことがある人は、少なからずいるかもしれない。

70歳の英国の女性は、最近亡くなった兄弟の家の屋根裏部屋を掃除しているとき、壺があることに気が付いた。価値はよく分からなかったが、これを競売に出したところ、中国の清朝の時代に作られたという壺の競り値はグングン上昇。結果、約4,300万ポンド(約57億円)という、驚愕の価格で落札となった。

英紙イブニング・スタンダードによると、この壺を出品したのは「70歳の女性と息子、娘」の3人。女性らは、最近亡くなり空家となった女性の兄弟の家を掃除していたとき、屋根裏の本棚に飾られていたこの壺を見付けたという。

しかし、全く価値を知らなかったという女性らは、オークションで売却することに。そこで地元の小さな競売業者「ベインブリッジ」に持ち込んだところ、鑑定の結果、この壺はかなり価値のあるモノだと判明した。

魚や草花の模様が施された色鮮やかな壺の価値を一気に高めたのは、底に残されていた印。この印やそのほかの特徴から、壺は「芸術に熱心だった清朝6代皇帝の乾隆帝時代に作られた」(英紙デイリー・メールより)と判明する。この頃に生産された陶磁器は愛好家の間で特に人気があり、その評価額はだいたい「80万ポンド(約1億円)から120万ポンド(約1億6,000万円)」になるという。

この壺の発見は専門家の間でも話題となったそうで、「ベインブリッジ」には世界中から問い合わせが殺到。そして11月11日、壺の競売が始まると「9人の入札者」(英紙インディペンデントより)の間で緊迫の競りが展開され、入札価格はみるみる上昇。30分間競った末に、予想をはるかに上回る4,300万ポンド(約57億円)で中国人男性が落札した。

ちなみに、この金額は10月に香港の競売で記録した2,000万ポンド(約26億円)での落札価格を大きく超え、陶磁器の取引としては過去最高。これには場内全体が興奮に包まれ、競売を見守っていた出品者の女性らも大きな衝撃を受けたという。落札した中国人男性は今後、業者への手数料などを含め総額5,130万ポンド(約68億円)を支払う予定だ。

桁違いの取引を喜んでいるのは出品者の女性らだけではなく、競売を手掛けた「ベインブリッジ」も同じ。同社がこれまで扱った中での最高額取引は「10万ポンド(約1,300万円)」(英紙デイリー・テレグラフより)だったそうで、今回の額はその記録の430倍となる。壺の手数料収入だけでも1,200万ポンド(約16億円)が出品者と落札者から入るというから、まさにウハウハ。同社を経営するピーター・ベインブリッジ氏は、「あまりにも高額すぎて、まだ頭が混乱している」と、未だに信じられないようだ。

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