英語の“禁句”と同じ名前の村、近年はイタズラ電話急増に住民困惑。

2010/10/24 12:28 Written by Narinari.com編集部

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エロマンガ島(バヌアツ)やスケベニンゲン(オランダ ※正確にはスヘフェニンゲン)、キンタマーニ(インドネシア)など、使われる言語によっては面白い意味に変わってしまう世界各地の“珍”地名。ただ面白がって話題にするだけならさほど問題はなさそうだが、オーストリアには、以前からその名前が原因で実害を被ってきた村がある。しかも、ネットが普及した昨今は、新しい形の迷惑行為に悩まされているという。

この村はオーストリアの北西部、ドイツ国境近くに位置するフッキング。ローマ字でつづると「Fucking」、つまり、英語圏における放送禁止用語がそのまま地名となっていることから、以前より英語を母国語とする人々の間では“珍”地名の村として知られていた。100人程度が暮らす村には観光客が頻繁に訪れ、地名が書かれた道路標識などの前で記念撮影をするのは見慣れた光景。しかし、観光客の中にはそうした標識や看板を盗む輩もいるなど、村は実害を被ることも少なくない。

また、今年3月にはドイツのビール会社が「Fucking Hell」という商品を市場に出そうとして、その名前に問題があると裁判沙汰になった際にも、話題はこの村の名前に飛び火。以前からその地名のせいで、たびたび注目を集めてきた。

ちなみに、同国ニュースサイトのオーストリアン・タイムズによると、フッキングの由来は、もともと「Focko(フォッコ)」という名前の人物にあり、英語の意味との関連性はない。地元では普通の言葉として使用されているだけに、英語圏での騒ぎに住民は違和感を覚えているようで、村を含むタルスドルフ地区のフランツ・メインドル地区長は「英語でおかしな地名はたくさんあるだろうし、ドイツ語で発音したらおかしな場所だってあるだろう」(オーストリアン・タイムズより)と、騒がれること自体に不快感を示している。

そんなフッキングで最近頻発し、住民を憤らせているのがイタズラ電話だ。同国ニュースサイトのウィーン・タイムズによると、イタ電の内容は、酔っているような状態で住民に英語で話しかけては、急に笑い出して電話を切る――というパターンが多いそう。

しかし、なぜ最近になってイタズラ電話が増えているのだろうか。少々不思議な印象も受けるが、実はオーストリアのオンライン電話帳で「Fucking」と地名検索をかけると、村の住民の電話番号がズラッと出てくることが判明。それをネットで見つけた心ない人たちが、英語圏の国から実際にイタズラ電話をかけているということらしい。

イタズラ電話という新たな被害に、フッキングのジークフリード・ハウップル村長も「英語を話す人たちが、どうしてそんなことを続けるのか理解できない」と困惑。そして「そっとしておいて欲しい」とも語っている。また、問題の原因となっている村名については「どんな提案も拒否する」と、変更するつもりは毛頭ないと断言。住民にとっては伝統と愛着のある地名だけに、軽い気持ちでイタズラをする人々の行動がなくなるよう願いたいものだ。

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