16年間風邪のような症状に悩む、「人生を返して」と願う英国の女性。

2010/10/17 17:57 Written by Narinari.com編集部

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健康に過ごす日々が当たり前のように過ぎていると、ちょっとした体調不良に陥っただけでも相当な負担に感じるもの。それほど深刻な病気でなければ、医者に通い、数日から1週間も安静にしていれば元の体調に戻るものだが、英国では16年間も風邪のような症状が抜けないという女性がいる。原因は重度の甲状腺機能低下症によるもので、そうと分かるまでには6年かかり、飲んでいる薬もほとんど効かないという現状に、女性は「人生を返してほしい」と、症状を改善できる医師の出現を望んでいるそうだ。

この症状に悩まされているのは、英中部ウェスト・ヨークシャー州ハリファックスで暮らす64歳のキャス・ロビンソンさん。英紙デイリー・メールやハリファックス・イブニングクーリアによると、彼女は16年前から毎朝、筋肉や関節の痛み、熱っぽさ、疲労感といった、風邪のような症状に悩まされているという。頻繁に医師の元を訪れ、ようやく原因が甲状腺機能低下症だと分かったのは、症状が出始めてから6年後。しかしロビンソンさんは「英国には症状を改善できる医師がいない」と言い、毎日飲んでいる13錠の薬も、彼女が自分で調べて見つけ出したものだという。

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンが充分に分泌されなくなる疾患で、これにより代謝が弱まり、疲労感や意欲低下などさまざまな症状が引き起こすとされている。現れる症状にはっきり特定するようなものがないため、一般的に症状から発見するのが難しく、血液検査などから分かる場合が多いという。

ロビンソンさんの場合も、6年間通った医師にはずっと風邪から来る関節炎と診断されていたそう。しかし、同じ症状の出た親族が通った病院で検査を受け、ようやく甲状腺機能低下症であることがわかった。そこで、甲状腺ホルモンを補う薬を処方されたが、10年経った今も改善している様子はなく、自分で調べた13錠の薬も「効いていない」と、依然症状に苦しんでいる状態だ。

そのため、5年前には仕事を辞め、現在は夫のフィリップさんの助けを借りながら生活をする毎日。買い物に出かけては震え始め、悪いときには車いすを使わざるを得なくなるという現状に、「ときどき、もう死にたい」(英紙デイリー・ミラーより)と思うときもあるそうだ。

それでも前向きな希望を失っていない彼女は、互いに安心できる仲間を見つけようと、支援グループの立ち上げを準備中。失望しているという英国の医療界には「私の人生を返してほしい」と語り、この病を扱える医師の出現を切実に願っているようだ。

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