国からの手当が充実している英国では、ときどき、普通に働いている人たちよりも贅沢な暮らしをする受給者の話題がメディアに取り上げられる。そこに登場する人々は堂々とインタビューに答えるケースが多く、同国内でも物議を醸すことはしばしばだ。先日、話題となったのは32歳で無職の母親。給付金で豊胸手術を繰り返しているそうだが、「どう使うかは私が決める」とキッパリと話している。
英紙デイリー・メールやデイリー・スターによると、今回、注目を集めているのはコーンウォール州ペンリンで5人の子どもと暮らす32歳のシングルマザー、ケリー・マーシャルさん。一度も働いたことがないという彼女は現在、4人の男性との間に生まれた16歳の長男から3歳の女の子まで、3男2女を育てる無職の女性だ。しかし、その暮らしぶりは決して質素というわけではない。マーシャルさんには毎月住宅手当や児童手当などで約2,400ポンド(約31万円)以上の収入があり、その他諸々と税控除などを含めると、年収は「3万9,000ポンド(約510万円)の給料と同等」(デイリー・メール紙より)になるという。
おかげで子どもたちの身の回りも充実。4つのベッドルームにはそれぞれテレビが置かれ、ゲーム機もプレイステーション3、Wii、Xbox360と揃っている。パソコンも3台所有するほか、家族旅行にも定期的に行くそうで、今年は地中海に浮かぶスペイン・マヨルカ島へ「2度行った」。さらに給付金の恩恵を受けているのは、子どもたちだけではない。
母親も「10代の頃からしたかった」という豊胸手術を行い、バストは34A(A〜Bカップ)から34DD(E〜Fカップ)へとアップ。「自分は良い母親だから、手術をする価値がある」と話し、今後さらに脂肪吸引や腹部形成手術も行いたいとしている。
働かずしてなかなか素晴らしい生活を送る一家に対し、世間から厳しい目が向けられているであろうことは「分かっている」と語るマーシャルさん。それでも、今の彼女は仕事をして収入を得るという発想が全くないらしい。かつては職業安定所にも通い、仕事を見つける意欲はあったそうだが、そのうちに「働かないほうが財政的により裕福になれる」と理解し、給付金で生活を送るようになった。
ただし、マーシャルさん一家のような人たちを支える給付金の原資となるのは、労働者からの税金。当然、記事を掲載したデイリー・メール紙にも、日々一生懸命働いてると思われる市民からの非難や疑問の声が多く寄せられ、その反発は大きい。しかし、マーシャルさんに言わせれば、給付されたお金を「どう使うかは私が決める」と、実に堂々としたもの。もちろん制度に則って支給されている以上、彼女には給付金を使う権利があるのだが、それだけの金額の給付を受けながら、さらに1万ポンド(約130万円)の借金を抱えるというなら、もう少し使い道を考えた方がよさそうだ。