客を焦がすホテルの“殺人光線”、建物に反射した強烈な光がプールに。

2010/10/02 10:12 Written by Narinari.com編集部

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カジノを備えた高級ホテルがいくつも立ち並ぶラスベガス。世界中からリッチな客が集まるこの場所に、いま、ちょっと危険なホテルが存在しているという。

シカゴで弁護士を務めているビル・ピンタスさんは仕事のためにラスベガスを訪れ、57階建てのヴィダラホテルに宿泊した。2009年12月にオープンしたこのホテル、建物はゆるい弧を描き、外壁はキラキラのガラス張り。洗練されたイメージの外観がホテルの高級感を醸し出しているのだが、これらの特徴が皮肉にも、初めて迎えた夏に“殺人光線”を生み出す原因になっているという。

米紙ラスベガス・レビュージャーナルによると、ピンタスさんは9月16日の正午ごろ、ホテルの客室棟脇にある屋外プールで泳ぎ、リクライニングチェアに横たわっていた。ところが、降り注ぐ陽射しを浴びながらリラックス――とのピンタスさんの思惑とは裏腹に、突然不快なほどの熱を感じ、思わず飛び起きることに。訳も分からず移動しようとするとサンダルも熱くなっており、ピンタスさんは裸足のまま大急ぎでプールサイドのバーへ避難した。

このときの様子を「料理されていた」と振り返るピンタスさん。大げさにも聞こえる彼の発言だが、実はその威力を物語る証拠も残されている。ひとまず日の当たらない場所で落ち着いたピンタスさんは、自分の髪の毛から焦げた臭いがしていることに気が付いた。そこで従業員に事情を話すと、この従業員は笑いだして「私たちはそれを“殺人光線”と呼んでいる」というから、穏やかではない。

実はこのプールサイドには正午前後の時間に、建物に反射した日光が集まるそう。そのため、プールサイド近辺では周囲より「6、7度ほど気温が高くなる」らしい。時にはプラスチック製のコップすら熱で溶けてしまうほどだそうだ。実際ピンタスさんも、このとき新聞を入れていたビニール袋に印字されたホテル名部分が熱で溶けたところを写真に収めている。

客も従業員も認める、ヴィダラホテルの“殺人光線”。ホテルを運営しているMGMリゾートインターナショナルは、建築中から「デザイナーがこの問題を予想していた」という。そこでホテルのガラス窓には、受けた光の70%以上を反射の際に散乱させるハイテクフィルムを貼り、しっかり対策をしたと考えていたそうだ。しかし今回のピンタスさんの例のように、未だ客に不快な思いをさせている事実はあると、ホテル側も認めている。

なお、のんびりするはずが思わぬ目に遭ったピンタスさん。今回の件については「訴えるつもりはない」そうだ。



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