姿を現した斬新な次世代バス、車高の低いリムジン型スポーツカーの趣。

2010/09/30 12:23 Written by ナリナリ編集部

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ちょっとした移動から安く長距離を旅したい人まで、多くの人に欠かせない乗り物となっているバス。自動車の進化に合わせてバスも少しずつハイテク化が進んでいるが、このほどドイツのモーターショーに出展された斬新な“次世代型バス”が話題を呼んでいる。オランダ政府の後押しを受けて開発が進められているという「スーパーバス」は、従来のバスとは大きく異なる、リムジンのようなボディの23人乗りの電気自動車。最高時速は250キロを計画しているという。

この「スーパーバス」は、オランダ人初の宇宙飛行士で、現在は物理学者としてオランダ・デルフト工科大学教授を務めるウッボ・オッケルス氏が中心となって、2004年に開発がスタート。プロジェクト公式サイトでは「いつでもどこでも乗りたい場所から乗って、乗り換えなしに目的地へ連れて行く」のが開発のコンセプトと説明している。同時に、従来のバスよりも「スピードと落ち着き」を追求し、高速かつ快適性を実現させようというのが「スーパーバス」の目指す姿だ。

今では「750万ポンド(約10億円)を投資した」(英紙デイリー・テレグラフより)オランダ政府をはじめ、オランダや英国の企業や大学もスポンサーとなり、官民挙げた大きなプロジェクトに成長した「スーパーバス」。開発開始から6年にして、ようやく9月23日〜30日にドイツで開催中のハノーバー・モーターショーで、その姿を披露することとなった。

従来のバスのイメージを覆す低い車高のボディは、一見するとリムジン型のスポーツカーといった趣。このバスのデザインにはF1ウィリアムズチームで空気力学を専門としていたイタリア人デザイナー、アントニア・テルツィ氏が関わっており、その経験が色濃く反映されているようだ。事実、プロジェクト公式サイトの紹介動画では、「スーパーバス」にF1の技術が利用されていることもアピールしている。

具体的に見ていくと、バスのサイズは全長15メートル、幅2.55メートル、高さ1.65メートル。4台の電気モーターが搭載され、最高時速250キロ、航続距離210キロとされている。現在自動車メーカーが開発に凌ぎを削る衝突防止用レーダーが装備されるほか、250キロから停止するまでの制動距離は200メートルと、安全面にも気を配っているようだ。

将来的には一般道路だけでなく、「専用レーンを走る」(デイリー・テレグラフ紙より)ことも想定しており、オランダでは2015年の実用化を目指して開発が進められている。また、公式サイトでは世界市場も視野に入れて研究を進めているとも記されており、オランダ国内で実用化された際の成り行きをまずは注目したいところだ。その結果次第では、将来「スーパーバス」が世界のスタンダードとなる日も来るかもしれない。(※走行中の動画はYouTubeの「Superbus First Ride 17 Sep 2010 Renger's music」//www.youtube.com/watch?v=UC_hlnr6ZlI で視聴可能) 

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