男4人で26年間の“飲み旅行”、英国のパブ1万5,000軒を飲み歩く。

2010/08/11 21:45 Written by Narinari.com編集部

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アルコールを嗜むことのできる人にとって、仕事や運動後に飲むお酒は格別。酔いが回れば普段と違う姿をさらす人も現れ、高揚する雰囲気に楽しみを感じるものだ。特に親しい仲間内なら、何の気兼ねもなく大いに語りあうことができ、大事なイベントとして捉えている人も少なくないだろう。英国の男性4人はその昔、地元のパブだけで飲むのは退屈と、休日ごとにいろいろな街のパブを開拓する旅を始めた。それから26年、今ではすっかり中年となった彼らは、先日、1万5,000軒目となるパブでおいしくビールを飲み干したという。  

この4人は英中部ウェストブロミッチで暮らす、ピーター・ヒルさん(54歳)と父親のジョーさん(79歳)、ジョン・ドリューさん(46歳)、ゲイリー・マウンテンさん(52歳)。彼らは、昔から地元のパブで集まっては一緒に飲んでいた飲み仲間で、ある日同じ店で飲むことに飽きを感じたことをきっかけに「英国中のパブを飲み歩こう」と決意。こうして1984年に、彼らの“飲み旅行”が始まった。

とにかく行った経験がないパブに入ってみようと、周辺にあるパブの情報を調べた4人。まだインターネットもなく、情報を探すのも一苦労の時代だけに、当初彼らが見つけた店の数は300程度だったというが、「新たな場所を見つけ続け」(英ニュースサイトnewslite.tvより)、すぐにその数は膨れ上がった。ジョーさん以外は平日仕事の彼らが、飲み旅行に費やせるのは日曜日と休暇期間中のみ。しかしこの26年間、彼らはせっせと“飲み旅行”に出かけ続け、着実に訪問したパブの数を増やしていった。

英国内はもちろんのこと、アイルランドにも足を伸ばして数を重ねた結果、旅を始めて17年目の時点で、通ったパブの数は1万軒を突破。それから9年経った今年、ついに1万5,000軒に到達した。これまでの走破距離は約40万キロ超、飲み干してきたビールの量は5万リットル以上にも及ぶという。「一時期最高20人いた」(英地方紙キダーミンスター・シャトルより)飲みメンバーも、気が付いてみれば残ったのはこの4人。いずれもスタートから行動を共にしてきた仲間で、また区切りの数を迎えられたことに、彼らも喜びを感じている。

「全部を思い出せないほど、数々の話がある」と語るのは、ピーター・ヒルさん。旅の目的は新たなパブに行って飲むことだけ、気ままな男旅とあって、飲み終わったら「地面に納屋、厩舎や墓地でも眠った。今でもたまにするけどね」と、飲むこと以外は無頓着だ。しかも、まだ20代の頃から休みの日ともなれば旅行に時間を費やしてきただけに、結婚を経験したのはピーターさんの父親ジョーさん1人だけ。中年となった3人は未だ独身で、「奥さん方がパブに行ったってあまり楽しめないさ」(英紙デイリー・ミラーより)と、結婚しないほうが彼らにとって良いと、ピーターさんは開き直っている。

まさにビールが恋人の彼ら。しかし、4人は単に飲み歩いていたわけでもないらしい。時には行く先々でチャリティー活動を行い、1万ポンド(約134万円)以上集めたこともあるという。

1万5,000軒目に到達したのは8月6日、キダーミンスターのパブで、4人は店の外に置かれている水車の前で祝杯を交わした。英国のすべての州で飲んだとして、ギネス・ワールド・レコーズにもその業績が認められたという4人にとって、この記録もまだ1つの通過ポイント。4人は英国中のパブを行き尽くすことを究極のゴールとしており、「それまで生きなければ恥」(キダーミンスター・シャトル紙より)とピーターさんは語っているそうだ。

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