観光地のシンボルとして置かれていた像が、いつの間にかニセモノにすり替わっていた――。先日、そんな事件が中国で発覚した。
中国紙大河網によると、事件の舞台は河南省鄭州市のとある観光地。観光地内の黄河岸辺に設置されていた大理石製の赤子を抱く母親像がニセモノに置き換えられ、ホンモノはそこから1,000キロ以上も離れた黒竜江省の別の観光地に売り飛ばされていたのだ。売り飛ばしたのは、観光地で働く従業員であることは判明しているという。
この像を巡っては過去にも事件があったことが知られている。像を制作した葉濱氏によれば、2004年、鄭州市内にあるホテルが勝手に大理石像の複製品を作り、ホテル内に設置したことがあった。このとき葉濱氏は観光地側に委託書を発行し、訴訟のための手筈を整えてあげたが、観光地側はホテルが像を撤去したことを理由に、訴えることをしなかったという。
葉濱氏は同じ像絡みでまた事件が起きたことに対し、遺憾の意を表明するとともに、本物が早く元の場所に戻ることを望んでいる。「複製品は(本物と同じ)白大理石を用いていますが、その制作技術や表現方法は本物に劣ります。像はこの30年間、風雨に耐え、もはや河南省のシンボルとも言える存在。観光地はきちんと像を管理すべきであり、彼らのこうした態度にはあまりにも失望させられます」と語り、観光地側の対応によっては訴訟も辞さない構えだ。また、仮に本物が戻らなかった場合、新しい像を制作する意向も表明している。
葉濱氏は観光地側から今回の事件について直接報告を受けておらず、報道を見た友人の電話で初めて知らされたという。そうした観光地側の杜撰な対応が、葉濱氏をさらに怒らせる原因となっているようだ。