スケボーをこなす犬やダイビングをする猫など、動物が驚きのパフォーマンスを繰り広げる話題は少なくないが、ロシアではいま、パラセイリングを“させられた”ロバが現れ、騒ぎになっている。このロバは、パラセイリングの宣伝を目論んだショップオーナーらによって空へと放たれ、約30分にわたり30メートル以上も上昇。飛ばされるハメになったロバのみならず、驚きの光景を目の当たりにして泣く子どもたちもいたそうで、地元警察は動物虐待の疑いで捜査を開始した。
英紙デイリー・メールによると、この一件が起きたのはロシア南西部黒海沿岸に位置するゴルビツカヤ村。7月15日、リゾート地のこの村の浜辺でパラセイリングの宣伝をするため、オーナーら数人はロバを空へ飛ばそうと計画した。その不可思議な光景に、海岸に来ていた人たちからの注目度も抜群だったという。しかし、その後の出来事に、大人も子どもも大騒ぎとなる事態になった。
ロシア放送局RTのニュース映像には、数人の関係者らによってロバが浜辺から勢いよく空中へと飛ばされる瞬間が映されている。周囲には大勢の海水浴客の姿も見えるが、「多くの客は携帯電話でおかしな飛行を撮影し、後で新聞に売ろうとしていた」(デイリー・メール紙より)らしい。そのため「誰も警察を呼ぼうとはしていなかった」と、地元警察関係者は話している。それでも、中には「パフォーマンスを止めるよう」(英紙デイリー・テレグラフより)迫る人もいたそうだが、関係者はこれを無視して宣伝を続行した。
ロバにとっても、無理矢理飛び立たされた“空中散歩”は未知の領域。「飛行中のほとんどは、恐怖で叫んでいた」(ロシア英字紙モスクワ・タイムズより)とされ、さらにこれを目撃して泣く子どもたちも続出したらしい。また地元紙の報告によれば、あまりに高く飛び過ぎたせいでロバに見えず、「なんで子犬をパラシュートに繋いだの?」と訴える子どももいたという。
結局30メートル以上飛ばされたロバは約30分後、「ひどい方法で着水」(デイリー・メール紙より)後に、そのまま命からがらの状態で岸に引きずりあげられた。これがロシア国内でも大きく報じられ、地元警察が7月19日に地元紙の報道でこの一件を知ると調査を開始。モスクワ・タイムズ紙によると、警察はロバの所有者とパフォーマンスを行ったオーナーをすでに特定しており、動物虐待の罪に当たるか捜査を続けているそうだ。