中国で生活していると、ときどき目撃することがある“さらし刑”。窃盗などの罪を犯して逮捕された人に手錠をかけ、しばらくその場に放置したり、街中を歩かせたりして衆目にさらす行為だ。先日、こうした“さらし刑”を受ける性風俗産業の女性の写真がネットで公開され、公安当局に批判が殺到している。
ネットに公開されたのは、売春行為をしたと思われる女性に手錠をはめ、裸足のまま街頭で“さらし刑”にしている数枚の写真。広東省東莞市公安局の2010年アジア競技大会へ向けた治安強化活動の一環で行われた取り締まりの風景と見られ、女性だけでなく、連行される男性の写真もある。
これらの写真はすぐさま中国メディアや掲示板サイトなどに掲載されたが、女性の顔にモザイク処理が施されていたり、いなかったりと対応の仕方がサイトによってバラバラ。写真によっては女性の顔立ちから服装まではっきりとわかるものもあり、元画像を加工しないで公開した公安からすれば、犯罪者のプライバシーなど「知ったことではない」といったところなのだろうか。
しかし、ネットユーザーはこれらの写真に驚きを隠せなかったようで、ある掲示板サイトではユーザーのコメント数が4000近くにまで達した(7月20日現在)。そして、そのほとんどが公安の行為を「行き過ぎ」とし、たとえ売春をした女性であろうと「最低限の尊厳は与えるべき」とする意見が大半を占めている。
ちなみに中国では同様の事件として、昨年10月に河南省鄭州市公安局が、現行犯逮捕した性風俗店で働く女性の全裸写真を公開。その際もネットを中心に「人権無視」と公安に対する批判が殺到した。