米国を中心にたびたびメディアを騒がす、未確認動物のチュパカブラ。「ヤギの血を吸う者」というスペイン語から名づけられたチュパカブラは、これまでに南北米大陸で多くの目撃例が報告されている。中にはチュパカブラらしき動物を「捕獲した」との報道も伝えられるが、それらは犬やコヨーテの可能性が高いと見られ、未だ存在の証明には至っていない。それゆえに“ミステリー”として世間を賑わせているが、このほどテキサス州で相次ぎ捕獲されたと、多くの米メディアがこれを話題にしている。
チュパカブラで注目を集めているのは、テキサス州北部にあるフッド郡。先週1週間の間に、「チュパカブラを殺して捕まえた」とする情報が2件報告され、米国内で話題を呼んでいる。米紙フォートワース・スターテレグラムによると、1匹目が捕まったのは7月7日。「痩せて灰色の皮膚をした動物」が納屋に入っていくところを地元の男性が目撃し、動物管理センター職員を呼んだ。男性と職員が中に入ると、攻撃態勢をとってきたため射殺したという。
その動物について、「それは醜かった、本当に醜かった」(米放送局NBCダラス・フォートワースより)と話した職員。一方男性のほうは数日後、友人に動物の写真を見せると「チュパカブラを捕まえたな」と言われたそうで、殺してしまったことを残念がったそうだ。しかしそれから2日後の7月9日、今度は約13キロ離れた同じフッド郡の牧場で、またしてもチュパカブラ捕獲情報がもたらされる。
30年間同地に住んでいるという牧場主の女性は、数週間にわたり、毛が生えていない見慣れない動物が辺りをうろついているのを目撃。しばしば現れるコヨーテをよく知る女性が「少なくとも見たことがない」と話すその動物は、この日ついに家に向かって近づいてきたそうだ。家の庭では子猫を飼っていたため、「近づいてきて欲しくない」と思った女性は、息子に頼んで動物を銃撃。仕留められたその動物には、背骨に沿って若干の毛が生えており、「たくましい足と鋭い爪」を持っていたらしい。その姿は、女性が「触りたくなかった」と話すほど異様なものだったという。
こちらのほうも、息子がハンティングをする友人に写真を電子メールで送付。この友人が「チュパカブラだ」と話し、息子もそれを信じるようになったそうだ。これら2匹はDNA鑑定のため動物管理センターからテキサスA&M大学へ送られ、現在調査中とされている。
ただ、検体を見た大学の博士は「何かとコヨーテの混血」との見解を示しており、今回もチュパカブラ発見には至らない可能性が高い。それでも、こうした当事者やメディアの盛り上がりを見る限り、米国のチュパカブラ論争はまだまだ衰えることはなさそうだ。