米国でいま、思わぬ事件が宣伝となり、ある缶詰が話題を呼んでいる。それは缶入りのサンドウィッチ、その名も「カンドウィッチ」。この缶詰、資金を募って本格展開を目論んでいた矢先に投資家が詐欺容疑で告発されてしまい、資金調達の計画が頓挫してしまったのだが、事件が話題となって一転、「カンドウィッチ」に注目が集まっているという。
いわゆる「パンの缶詰」は、すでに日本でもおなじみの存在。保存性に優れた乾パンのほか、近年はふわふわな食感の「パンの缶詰」も多く販売されている。また、スイスのメーカーが生産している「チーズバーガーの缶詰」が一時期日本のネットでも話題を呼ぶなど、「パンの缶詰」を目にする機会が増えてきた。そして今回、話題となっているのが米国で開発された「カンドウィッチ」だ。
「カンドウィッチ」は、開発者のマーク・カークランド氏が経営するマーク・ワン・フーズ社が生産している「パンの缶詰」。公式サイトによると、この缶詰は340ミリリットル缶に詰められ、味はピーナッツバターといちごジャムorぶどうジャム、バーベキューチキンの3種類がラインアップされている。現在は「ユタ州内の自動販売機」(英紙デイリー・メールより)で販売しており、投資家から資金提供を受け、全米進出を目指していた段階だった。ところがこの投資家は支援の約束を反故にしたばかりか、詐欺容疑で告発。大きな騒動に発展してしまった。
「カンドウィッチ」の支援を約束していたトラヴィス・ライト氏は、不動産投資を名目に2009年までの9年間にわたり、175人の投資家から1億4,500万ドル(約128億円)もの資金を調達。「最高24%の配当」(米紙ニューヨーク・タイムズより)を約束していたにも関わらず、実際には不動産とは関係のない事業に資金を注ぎ込んだとされている。また、家族らとの豪華な生活にも流用した結果、約束の配当を投資家に支払わず、米連邦証券取引委員会から告発を受け、大きなニュースとなってしまった。
騒動に巻き込まれた形のマーク・ワン・フーズ社も、結局ライト氏からの財政支援は「実現しなかった」(デイリー・メール紙より)という。しかし、この騒動がきっかけで、思わぬ形で「カンドウィッチ」の注目度も上がったようだ。実際、事件を報じるメディアはこぞって「カンドウィッチ」の写真を掲載。ライト氏が資金流用を計画していた製品ながらも、「それらは素晴らしいアイデアだ」(米誌ニューヨーク・マガジンより)など、事件とは切り離して好意的に缶詰を紹介するメディアもある。
こうした勢いも受けてか、カークランド氏は今後も積極的な展開を目指す方針を変えない様子。現在は別の投資家による財政支援を取り付け、まずはこの缶詰の特許申請を目指し、年内中には「本格生産に入りたい」と意気込んでいるそうだ。