嗅覚や聴覚などの優れた能力と賢さから、特殊な環境でも人間の手助けをしてくれる犬たち。アフガニスタンに展開中の英国部隊で立派な“戦力”となっているブリンも、そんな人間を助けてくれる犬だが、彼は数か月前までは地元の野良犬だった。ところが、パトロールの兵士の後をついているうちに、意外な能力を発揮し始める。それは路上に隠された爆弾を見つけ、兵士に知らせるという爆弾探知能力。思わぬ才能が開花したブリンは部隊の一員として重要な存在となったのだが、同時にこの能力が仇となり、タリバンから目を付けられるようになってしまった。
英紙デイリー・ミラーによると、ブリンはいまから数か月前、英軍歩兵部隊のベースキャンプ周辺をうろついているところを保護され、その後別の部隊に引き渡されたそうだ。人懐っこい性格で、程なくして兵士にくっついてパトロールにも一緒に行くようになったブリン。すると、タリバンが路上に隠して設置した爆弾のニオイを察知し、吠えて兵士に存在を知らせるという能力を発揮し始める。英軍内でもブリンの能力はすぐに知られるようになり、高い評価を受けるようになったが、一方でこれを知ったタリバンは激怒。地元の犬が「英軍の特殊訓練犬にされた」と怒りを露わにしたという。
そしてある日のこと。アフガニスタン南西部にあるヘルマンド川沿いをパトロールしていた部隊は、作戦変更のためヘリコプターで移動することになった。これが急な作戦変更だったためブリンを連れて行くことができず、その場に置かれることに。普段なら部隊と離れてもベースキャンプに自力で戻って来たため、こうした判断となったようだ。しかし、このときは時間が経ってもブリンは戻って来なかった。実はタリバンによって囚われの身となっており、タリバンメンバーは「特殊訓練犬をさらった」と地元住民に自慢していたらしい。
ブリンを重要なメンバーと考えていた部隊は、この事態にすぐ反応。救出をアフガニスタン軍に依頼し、無事を祈った。そして先日、アフガニスタン軍の特殊部隊がタリバンの拠点を攻撃した際、捕えられたブリンを発見して救出。英軍部隊へ引き渡したそうだ。
これには隊員たちも大喜び。世話をしているマーク・タウンセンド部隊長は「彼が今まで見たことのないような、おもちゃとご馳走を用意した」と話し、帰還を祝ったという。任務だけでなく、ペットとしても隊員たちの役に立ってくれるブリンを「士気を高めてくれる大きな存在」とも語り、もはやこの部隊に欠かせないメンバーになっているようだ。