いまから3年前、英オックスフォードシャー州に住む男性の飼い猫が、当地を襲った豪雨と洪水により姿を消した。捜索しても見つからず、泣く泣く再会を諦めたのだが、先日、男性のもとに思いもよらぬ知らせが届いたという。それは約250キロ離れたマンチェスターの動物保護センターから「猫を発見した」という吉報。そして、男性と猫は実に3年ぶりの対面を果たしたそうだ。
オックスフォードシャー州ウェンドルベリーに住むスティーブ・ブレイクさんは3年前、辛い別れに直面した。亡くなった父親から2003年に譲り受けた飼い猫のファッジの行方が分からなくなったのだ。英紙オックスフォード・タイムズによると、2007年7月のある日の夜、ファッジは外に出かけていたそう。しかし翌日、辺り一帯が豪雨による洪水に襲われてしまい、災害収束後も帰ってこないファッジの行方を数日探したものの、結局発見には至らなかった。
その後もファッジに関する情報は一切見つからず、ブレイクさん一家は「もう彼には会えない」と思うに至り、洪水の犠牲になった可能性が高いと考えていたようだ。しかし、それから3年が経った先日、ブレイクさんのもとに信じられない連絡が寄せられた。
今年6月12日、ブレイクさんはW杯南アフリカ大会で、米国と対戦するイングランドの試合を見るため家でくつろいでいた。そこにマンチェスターの動物保護センターから「ファッジは元気だ」との連絡を受けたという。これには話を聞いた家族も「みんなビックリ」。ウェンドルベリーから約250キロも離れた、マンチェスターで生きているところを保護されたそうだ。
ここで素朴な疑問として浮かぶのが、「似た別の猫ではないのか」ということ。しかし、今回ファッジと断定する決め手となったのは、埋め込まれていたマイクロチップだった。マンチェスター郊外の街を歩いているところを動物保護センターによって確保されたファッジは、獣医の検査を受けた際にマイクロチップが発見され、飼い主の特定に繋がったという。
知らせを受けたブレイクさんはすぐにマンチェスターへの旅行を決め、無事に再会を果たした。3年もの間、1匹で頑張って生きていたファッジ。ブレイクさんは「寒い冬の間は、マンチェスターの人が食べ物を与えてくれたのかもしれない」と推測しているが、実際にどのように過ごしていたのかは誰にも分からない。しかし、11歳になったファッジが今でもやんちゃなだけに、3年間の孤独な生活も「彼はそんなに悩んでいなかったのでは」と、ブレイクさんは思っているそうだ。