30代半ばで弁護士をしているインドのある女性は、親に結婚を迫られ、思い悩んでいた。しかし、いまだに男性が強いインド社会。家庭に入れば女性に自由はなく、さまざまなことを強いられる結婚生活が待っている。親の言うがままに、納得できない形で結婚することを回避するにはどうしたら良いか――。そう考えた弁護士は「自分が男性になれば結婚を強制されない」と、性転換手術を受ける荒業に出たという。
インド紙タイムズ・オブ・インディアによると、この弁護士は日頃から、男性社会のインドで女性が親や夫に従うのが当たり前であることに不満を抱いていた様子。同紙に対し「私たちの社会にある、女性が“強制される”家庭生活を送りたくなかった」と話している。しかし、そうした考え方とは裏腹に、親は結婚に向けた準備を着々と進めていた。
「この社会は大部分が男性に支配され、女性は声を上げることもできない」。立派に社会に出て男性並みに活躍しているだけに、夫に仕える形となる結婚生活には強い抵抗があったのだろう。また、近い関係者らの話では、この弁護士には親しくしている女性がおり、「その彼女と、残りの人生を一緒に過ごしたがっていた」とも。親が迫る結婚の回避と自分の希望、それらを同時に解決する方法として導き出された答えが性転換手術だった。
かくして親に内緒で病院を訪れた弁護士。自殺をほのめかすほどの並々ならぬ決意に、医師も「手術せざるを得なかった」という。そして6月29日、体から子宮や卵巣など女性の器官を取り除く手術が行われ、同時に陰部や胸にも手を加え、ホルモン注射を打ち、男性の体つきに仕上げることとなった。
手術の結果、子どもを作ることはできないものの、後は男性そのものに。ホルモン注射により、今後はひげも生えて声も低くなるという。手術後も「女性ならではの苦しみから逃れるためなら、男性になるほうがいい」と、全く後悔はないようだ。親に押しつけられそうになった結婚もこれでなし。自分の好きな彼女と一緒になれることもあってか、男性となった弁護士は新たなスタートを心から喜んでいるという。