死の瞬間まで19年の日々を記録、話題呼ぶ米国人カメラマンのサイト。

2010/06/22 15:35 Written by Narinari.com編集部

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米ソーシャル・ニュース・サイトDiggへ6月19日に投稿され、話題になっているサイトがある。トップページでユーモラスな目玉おやじ(?)風の仮装をした写真が目に飛び込んでくるこのサイトで見られるのは、1979年から1997年まで各年毎にカテゴリ分けされた無数の写真。これらはニューヨークで活躍していたカメラマンが、19年の日々をポラロイドカメラで撮影したものだ。友人や恋人らとともに笑顔を浮かべる写真から、晩年の闘病生活まで時間の流れが克明に映し出され、最後は命が尽きた瞬間の写真で幕を閉じる。男性の人生模様を眺めた多くのネットユーザーは心を揺さぶられ、一日一日を生きる意味や、その大切さを考えさせられているようだ。

話題となっているのは、1997年に他界したカメラマンのジェイミー・リビングストンさんの写真を掲載している「Photo of the day」(//photooftheday.hughcrawford.com/)というサイト。実はこのサイトが最初に注目されたのは、いまから2年前のことだった。

古くからの友人であるルイーズ・クロウフォードさんのブログに書かれた当時の話によると、2008年の5月に夫のヒューさんと、リビングストンさんの元恋人がサイト立上げに向けて準備。すると5月21日に「どういうわけか」サイトが米誌メンタル・フロスの記者の目に留まり、紹介されたという。評判はアッという間に広がり、Diggをはじめ米英メディアでも報道された結果、同23日のブログのエントリーでは「サイトが落ちた」ほどのアクセスを記録したと報告している。

話題の人物、ジェイミー・リビングストンさんはサーカスの団員を務めた後、カメラマンや撮影技師を務めた男性。彼は22歳の時にポラロイドカメラに出会い、こまめに写真を撮っていることに気が付き、毎日1枚の写真を撮影するプロジェクトを始めたそうだ。引っ越しの際などに無くしたものもあるものの、残された写真は全部で約6,000枚。リビングストンさんは残念ながら41歳の誕生日だった1997年10月25日に脳腫瘍のため他界し、病床で命が尽きた姿を収めた写真がプロジェクトの最後となっている。

しかし、「数百人の友人を残した」(ルイーズさんのブログより)ほど愛されていた彼のプロジェクトは、この友人たちが終わらせなかったという。2006年にはお金を出し合い、米国やフランスなどで写真の展示会を開催。その頃から、ヒューさんと彼の元恋人ベッツィ・リードさんが音頭を取り、写真のデジタル化を進めてサイトの立ち上げを計画していた。

そして2008年5月、しっかりと完成させる前に雑誌に紹介され、見切り発車的にサイトの公開がスタート。文による説明は一切なく、ただリビングストンさんが過ごした毎日の写真だけがサイトのコンテンツとなった。そこには仕事やプライベートで写したと思われる、何気ない一瞬がうかがえる写真がズラリと並んでいる。旅行や野球観戦、恋人とのショットなど、ごくごくありふれた写真の数々を追ううちに、何となく彼の人柄が見えてくるだろう。

膨大な写真の中に大きな変化が現れるのは、1997年5月から。ベッドに横たわる姿や、薬を手にした写真などが見られ、病状が深刻になっていく様子が分かる。10月5日の欄には指輪、7日にはリンダ・シェーファーさんとの結婚式のショットが掲載され、ギリギリで幸せを掴んだ彼だったが、その後に並んだ写真は18枚だけ。「泣かせる」(Diggより)と評判を呼ぶこのサイト、彼の生き様がどのようなものだったのか、一度ご覧になってはいかがだろうか。

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