足の熱で充電できる長靴を開発、音楽フェスで熱狂する間に電気を作る。

2010/06/10 21:09 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


人々が生活していく上で、必須アイテムとなった携帯電話。外出先でバッテリーが無くなり、充電に困ったという経験をした人も少なくないだろう。コンビニに行けば簡易充電器なども売っているが、いちいちお金を出すのも少し悔しい。こうした声に応えるように、太陽電池で充電できる端末が登場するなど、近年は携帯電話の分野でもエコな発電システムが注目を集めている。そうした中、英携帯電話会社オレンジは発電に必要なエネルギーとして“足の熱”に着目。歩いたりはねたりしている間に携帯電話の充電ができる長靴を開発した。

この長靴は、再生可能エネルギーを専門とする「GotWind」の協力を得て、オレンジが開発した「Orange Power Wellies」。その名の通り発電するこの長靴は、靴底の内部に熱を電気に変える基盤が装備されている。GotWindの説明によれば、ユーザーが長靴を履くと、足の裏から発せられる熱と地面の冷たさに反応して「電気が発生する」仕組みになっているそうだ。肝心の充電効率については「12時間歩けば、携帯電話1時間分を充電できる」だけの力があるらしい。

「それにしても長靴なんて」と思うなかれ、実はこの長靴はある場所を想定して開発が進められた。それは音楽フェス。実際に6月23日から27日にかけて開かれる世界有数の野外ロックフェスティバル「グラストンベリー・フェスティバル」で公開される予定だ。

「グラストンベリー・フェスティバル」が行われるのは英南西部のグラストンベリー近くにある、牧草生い茂る広大な農場。土の上を歩きまわり、雨でも降ればぬかるみもできるようなこの場所では、長靴は必需品というわけだ。そこで、ユーザーがライブを楽しんで熱狂する間に、興奮とともに放出される熱を長靴から吸収。それを電気に変え、長靴に収納された携帯電話やiPodの充電を行うという、まさに“一石二鳥”の仕組みとなっている。

GotWindのデイブ・ペイン氏は「長靴は今やフェスで主要な靴になっている。Orange Power Welliesは水から守ってくれるだけでなく、重要なエコ電力源だ」とコメント。オレンジのアンドリュー・ピアシー氏も「仲間に電話するのにクリーンな再生エネルギーを使える」と、活用に期待を示している。

両社はさらなる開発の必要性も語っており、この技術はまだまだ進化しそう。ひょっとすると、この発電装置がファッショナブルな靴にも搭載され、歩きながら充電するスタイルが一般化――という未来も遠からずあるのかもしれない。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.