中国で14年前に失踪した妻、ずっと近くで暮らすも村人は誰も気付かず。

2010/05/30 13:51 Written by Narinari.com編集部

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日本では年間10万人もの人々が何かしらの理由により失踪・行方不明になっていると言われているが、人口が多く、国土が広い中国における失踪・行方不明事件の数はその比ではない。鉄道駅構内の告知モニターや新聞には頻繁に「捜索願」が掲載されており、老若男女問わず、毎日多くの人が失踪・行方不明になっていることをうかがい知ることができる。そんな中国で「失踪女性が14年ぶりに発見された」という話題が、先日地元メディアによって伝えられた。そしてこの“失踪劇”、かなり複雑さを帯びていることから、ネットで大きな関心を集めているようだ。

中国紙燕趙都市報によると、“失踪劇”の始まりは、1994年の正月を迎えて間もない頃までさかのぼる。浙江省寧波市の慈渓市腰塘村で暮らしていた陳宝新さんは、夜中にふと目を覚ますと、妻の金■(女へんに弟)さんがいなくなっていることに気が付いた。陳さんは不審に思い部屋の中を見渡したが、金さんの衣類数点が無くなっていることがわかり、「もしや家出したのか」と驚いたそうだ。

いてもたってもいられなくなった陳さんは、翌日から妻の捜索に乗り出した。地元はもちろんのこと、上海や江蘇省にまで足を延ばし、妻の行方を探ることに。しかし、一向にどこに行ってしまったのかわからない。春が過ぎ、冬が訪れ、そしていつしか14年もの歳月が流れた。その間、失踪した妻に関する情報はまったくなく、村人たちも陳さんに諦めるよう説得。挙句の果てには、妻の戸籍取り消しを勧めるまでに至ったという。

しかし、村人たちが金さんの存在をほとんど忘れてしまった2007年12月8日の早朝、家で眠っていた陳さんを呼び起こす人が現れる。それは失踪した妻の姉。「彼女は病院にいる」と、14年も経って妻の所在を告げられた陳さんは当初半信半疑だったが、モヤモヤを抱えながらも病院に急行した。そしてびっくり、確かに病院のベッドで目にしたのは紛れもなく妻の姿。医師の説明では腹膜炎を患って衰弱しており、緊急の治療を要する容態だという。陳さんはすぐに医療環境が整った病院に妻を転院させ、娘とともに必死に看護に当たることにした。

陳さんと娘の愛情が届いたのか、金さんは次第に病状も回復。そして、身体が良くなったことで、金さんの口から“失われた14年間”の状況が明らかにされる。

金さんの話では、彼女は陳さんと一緒に暮らしていた腰塘村から一度も離れずに暮らしていたそう。しかし、住んでいたのは別の男性の家。人目を避けるように男性宅の2階の小部屋で生活を送ってきたこともあり、陳さんや娘はもちろん、村人たちからも発見されることはなかった。

14年前に家出をした理由は、陳さんとの夫婦生活がうまくいってなかったため。当時、金さんは工場で働いていたが、夫婦生活に疲れ、同じ職場で働いていた年配の男性と親密になった。そして二人の関係はいつしか恋仲に発展。金さんは「駆け落ちしよう」と男性を誘うが、実はこの男性も妻子持ちで、二人の子どもがいるだけでなく、男性の妻は精神的な病を患っていた。男性にしてみれば妻子を置いて駆け落ちするわけにもいかず、結果として金さんが男性の家に転がり込む形になったわけだ。

金さんは男性が出勤している間は部屋でテレビを見続け、来訪者があれば姿を潜めていたらしい。しかし、外にも滅多に出ない不健康な生活がたたったのか、2007年12月に突如病に倒れ、入院先の病院でその存在が明るみになった――というのが14年間のすべてだった。

結局、陳さんと金さんは昨年3月に協議離婚が成立。ただ、不倫相手の男性は、精神的な疾患を抱える妻の生活を保証できなければ離婚できない法律が存在するため、金さんと結婚できる目途はたっていないという。

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