ウォッカを目で飲む危険行為、欧米の若者に広がる摂取法が問題に。

2010/05/28 15:34 Written by Narinari.com編集部

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「酒は百薬の長」と言われるが、大学の新歓コンパなどでは、場を盛り上げるために無茶な飲み方をしてしまう若者の例が後を絶たない。楽しみが求められる場とはいえ、不適切な飲酒は取り返しのつかない影響を及ぼす危険も高いことを、特に飲み始めたばかりの若者は頭に入れておきたいところだ。日本では一気飲みによるアルコール中毒がたびたび問題になるが、近年欧米の若者の間ではウォッカを目に流し込む行動が一部で人気なのだそう。刺激性と急速な酔いが得られるのが人気の一因のようなのだが、目に障害を抱える人も現れるなど、メディアや専門家がその危険性について警鐘を鳴らしている。

「ウォッカ・アイボーリング」と呼ばれるこの行動は、「ラスベガスのナイトクラブが発祥」とされ、チップをもらったウェイトレスが試したのが最初らしい。いつしか、この飲み方は米国の若者の間で広がり、最近では「英国の大学の間で大流行」(英紙デイリー・メールより)しているという。そのやり方はいたって簡単、ウォッカを直接目に注ぎ込むというものだが、普通に飲むだけでも喉が焼けるようなアルコール度数の高いお酒だけに、根性試しの意味合いもあるようだ。  

現在「YouTubeには800以上のクリップがあり、100人以上のファンを持つFacebookページさえある」(米紙ニューヨーク・デイリーニューズより)という「ウォッカ・アイボーリング」。YouTubeに投稿されている動画のひとつを覗いてみると、若い男性がボトルを片手に、左目にウォッカを注ぎ込む様子が映し出されている。ゆっくりウォッカが目に入ると、男性は目を閉じながら頭を左右に。左目をこすり苦しんでいるようにも見えるが、周りの友人らは楽しそうに笑い、よくやったとばかりに男性の肩を叩く。男性もそれに応えるように、何とか笑顔を作って見せた。

この飲み方をすると、目の粘膜を通ってすぐにアルコールが静脈に入るため、「すぐに深く酔った状態を得られる」とされている。中には「彼らがそれをするときは、すでに酔っぱらっている」(米放送局Foxより)との指摘もあり、酔うためだけでなく、酔ってテンションが上がったときの楽しみとして行動に移してしまう若者も多いようだ。しかし、急速に酔う危険性もさることながら、高濃度のアルコールが目に障害を与えるとの声も上がっている。

デイリー・メール紙では、昨年大学を卒業したメリッサさんという女性の例を紹介。彼女が「ウォッカ・アイボーリング」に出会ったのも、「猥褻で競争的」と表現しているその大学では特に珍しい話ではない。「新しいことを試したくて、その後に起きることについて考えない」ほかの大学生と同様に、勢いに任せて何度も「ウォッカ・アイボーリング」を試したメリッサさんを待っていたのは、後悔の念だった。彼女は左目に傷を作ってしまい、今でも涙が止まらないという。痛みも慢性的に起こり、場合によっては将来「視力が悪化するかもしれない」との診断も受けたそうだ。

ロンドンにあるセント・メアリー病院のロビン・トゥケ氏は「胃と異なり、目はアルコールから保護して吸収を助ける機能がない」として、この行動の危険性を指摘。さらに、繰り返し行えば「角膜や白目の部分に、重い損傷を引き起こす可能性がある」としている。ウォッカは目に浸透して傷を作ることから、一度できた傷は「元に戻らない」そうで、メリッサさんも診断を受けてショックを隠しきれなかった様子。デイリー・メール紙では「メリッサの話は、決して特殊ではない」と、学生や関係者らに注意を促している。

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