授業中の間違い電話が繋いだ“出会い”、通話相手は異国の国連大使だった。

2010/04/24 12:58 Written by Narinari.com編集部

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授業を受けていた生徒のケータイが鳴り響く教室。すぐに切ってもまたかかってくる間違い電話に生徒は困惑し、先生がケータイに出てみると、電話の相手はアフリカ・ザンビアの国連大使だった――。そんな米国の高校で起きた出来事が話題を呼んでいる。しかも、この間違い電話による偶発的な“出会い”は、素敵な結末を用意していた。

米ニュージャージー州にあるウェストオレンジ高校でこの出来事が起きたのは昨年秋のこと。ある日、米国史の授業を受けていた男子生徒のケータイに一本の電話がかかってきた。彼は電話に出てみたものの、相手の話はちんぷんかんぷんで、すぐにこの電話を切ったそうだ。ところがその後、同じ相手からテキストメッセージが送られてきたかと思えば、さらに電話が2回着信。そのたびに鳴り響く着信音で授業がストップしてしまい、困った先生は彼のケータイを取り上げ、履歴に残された番号の相手へ電話をかけてみることにした。

電話が繋がり話を始めた先生は、相手に何者なのかを聞いてみると、通話口に出た男性は「ザンビアの国連大使」と想像もしていなかった返事。「いたずらか詐欺だと思った」(米紙スター・レッジャーより)先生はその後10分余り男性と会話をしたが、そのうちに「雄弁ながらもすまなそうに話していた彼は物凄いザンビアの知識を持っていた」ことを理解、相手が本物の大使だと確信したという。

高校生に間違い電話をかけるというドジな一面を披露したのは、ザンビアのラザルス・カパンブウェ国連大使。このとき、西アフリカのシエラレオネにいたという大使は、国連安全保障理事会に提出された議案の内容について急いで把握しようと、仲間の外交官へ連絡を取ろうとしていたそうだ。しかし、大使のケータイに登録していた電話番号が間違っていたため、外交官にかけたつもりが米国の高校生に繋がってしまったらしい。

授業の邪魔をしてしまい、ひたすら謝る大使。すると先生は滅多に接触する機会のない相手に「あなたは私の授業時間の多くを取ったのですから、うちの学校に来て、話をしていただけませんか?」と、思い切った提案をぶつけてみた。

そしてこの出来事から約半年が経った4月21日、大使は約束の“お詫び講演”をするため、ウェストオレンジ高校に来訪。大使は300人の生徒を前に、ザンビアはテキサス州と同程度の大きさであること、およそ1,300万人の国民がいること、74の言語があること、世界遺産にも登録されているヴィクトリアの滝(世界三大瀑布のひとつ)があることなど、陽気に同国の地理や文化を紹介したという。そして1964年まで英国の植民地だった歴史をひもとき、国連での外交がいかに重要であるかを説いたそうだ。

また、大使からは「(生徒の中の)何人かが外交官の仕事に就くことを望んでいる」との希望も。ひょっとしたら将来、今回の“出会い”に刺激を受け、世界を股にかけて活躍する生徒が現れるかもしれない。

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