人生最後のユーモア? 骨壷に広告スポンサー募る余命わずかのコメディアン。

2010/04/23 08:21 Written by Narinari.com編集部

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亡くなった人に最後の挨拶をするお葬式は悲しみに包まれるものだが、故人のキャラクターによっては、皆が明るく見送るというケースも聞かれる。米国でコメディアンをしている37歳の男性も、そんなお葬式を望んでいる1人。昨年大腸がんと診断され、余命数か月となった彼の希望は「最後まで人々の笑いを誘いたい」。そこで思いついたのが、自分が入る骨壷にスポンサーの広告を入れ、それを見た人に笑ってもらうというアイデアだった。男性が募集を始めると、現在までに2件の応募が寄せられたという。

米紙レジスター・ガードによると、この男性はオレゴン州スプリングフィールドに住むアーロン・ジャミソンさん。NBC系列のKMTR-TVで働いていた経験を持つジャミソンさんは、活躍の場を裏方から表舞台へと変え、現在は「自称コメディアンやミュージシャン」(レジスター・ガード紙より)として、「昨年、地元コメディコンテストで優勝」するほどの実力と伝えられている。

そのコンテストで優勝する前の2009年2月、彼は大腸がんの診断を受け、18インチ(約45センチ)の大腸を切除。しかし、その後の検査でがんがリンパ節や肝臓に転移していることが分かった。現在は末期の状態という彼の余命は「化学療法の効果があれば9か月、無ければ3か月」と見られている。間近に迫る人生のリミットへの不安や苦しい治療もあって、不安定な感情に苛まれる毎日ではあるが、持ち前のユーモアを失ってはいなかった。

「人々が葬式に来たとき、声をあげて笑って欲しい」と願うジャミソンさんは、自分の骨壷を広告代わりに活用してくれるスポンサーを集めるアイデアを思い付く。そこにはジャミソンさんにとってもいくつかのメリットがあった。1月からの治療費だけでも「数千ドル以上かかっている」(KMTR-TVより)が、“自称コメディアン”と言うだけあって、今は「少しの金もない」(レジスター・ガード紙より)状況だからだ。

しかも、妻のクリスティンさんに「生命保険もあまり出ない」(米放送局ABC系列のKATU-TVより)のも気がかりだったジャミソンさん。せめて「お葬式代くらいは妻に心配させないように」と、骨壷を広告スペースと考えてくれるスポンサーを探し、葬式代を集めようと画策した。目標金額は1スポンサーにつき100ドル(約9,300円)で、合計800ドル(約7万4,000円)。骨壷は親用と妻用の2つあり、以前学んだグラフィックデザインの技術を生かして、ジャミソンさん自身が広告を描くそうだ。そして、2つの骨壷は「葬式に用意されるターンテーブルに飾られる」(KMTR-TVより)という。

この広告のアイデアには、長年の友人のレストラン経営者など、すでに2件の応募があったそう。上々の出だしにジャミソンさんも「私の体は大きいから、充分灰を満たせるだろう」(同)と話し、「25件集めたら、さらに2つ壺を買う」とも。スポンサーとなった人も「彼の個性らしい、そんな楽しさに満ちたヤツだよ」と、申し込んだ理由を話している。また、当初アイデアに反対した妻も、度重なる彼の説明に承諾。「いつもおかしな人だったと、改めて思わされたわ」(レジスター・ガード紙より)と、アイデアを楽しむことに決めたそうだ。

どうやら計画は「私は楽しんでいたい、不機嫌なまま死にたくはない」と語るジャミソンさんの思惑通りに進んでいる様子。なお、スポンサーは公式ブログなどで募集中だ。

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