23年後に東ドイツから届いた手紙、少年時代に瓶を流した人物も発見。

2010/03/15 14:10 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


どこの誰ともわからない人との繋がりに期待して、川や海に流すメッセージボトル。見つけてもらえるかどうかもわからず、仮に拾われたとしても連絡をしてくれなければアウトと、実際に繋がりを得られるまでにはハードルをいくつも乗り越えなければならない。だからこそ、流した人と見つけた人が繋がったという話題は、時に心に響く何かを思わせる。先日、ドイツに住む9歳の少年は、近所の川岸で1本のワインボトルを発見した。ボトルに入っていたのは古びた手紙。それは、少年が生まれる前に消滅した東ドイツから流されたものだった。

独地元紙などによると、ニーダーザクセン州ゲッティンゲンに住む9歳の少年ユーリくんは3月7日、母や姉らとともに散歩に出かけ、地元を流れるライネ川にやってきた。そのとき、ユーリくんは岸にたまっていた漂流物の中に1本の瓶を発見。瓶の封は頑丈に閉じられていたため、自宅で父親がハンマーで割って中身を確かめると、そこには湿った1枚の手紙が入っていたそうだ。字のインクは色褪せ、読むことも難しい状態だったが、解読を試みることにした。

その結果、手紙を書いたのはマルコくんという11歳の少年と判明。日付は1987年1月3日と記されていた。マルコくんが暮らしていた村は、ユーリくんが住むゲッティンゲンから約40キロほど離れた場所にあるが、1987年当時は東西ドイツの統一前。2つの街は、西と東にそれぞれ属していた。

つまり、旧東ドイツ国民だった少年は、国境の向こう側に住む文通相手を求めてメッセージボトルを川に流したということ。そこでユーリくんの家族は、インターネットや電話帳で手紙の主である少年の所在を探し始める。家族の力だけでは難航したものの、話を知った独通信社DDPの協力もあり、最終的には現在34歳となったマルコさんを見事に発見することができた。

少年時代のマルコさんがメッセージボトルを流そうと考えたのは、西ドイツから風船でやってくる手紙に影響を受けたから。実家の近くを流れていた川に瓶を5つ流したが、これまで返事が来たことはなく、友人からこの話題を知らされるまでは流したことも忘れていたという。そのため、発見の一報を聞いた最初の感想は「ちょっと早いエイプリルフールかもしれない」と、半信半疑だったそうだ。

かくして、マルコさんが23年前に瓶に込めた想いは時を超え、当時まだ生まれてもいなかった9歳の少年の手に渡った。当時は国を分断していた国境も今はなく、ユーリくんもマルコさんも同じドイツ国民同士。2人の交流が、今後深いものになっていくように願いたい。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.