娘の晴れ姿に一安心、自宅での結婚式から10分後に重病の母親が他界。

2010/03/02 14:14 Written by Narinari.com編集部

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「孝行をしたい時分に親はなし」とは、子どもが親への感謝の気持ちに気付く頃には、すでに親がこの世にいないことを指す言葉。一緒に過ごしている間は、親に育ててもらう有難みを感じるのはなかなか難しいが、実際に自分が大人になってみて、親の大切さに気付いたという人も多いかもしれない。自分が成長すれば、それと同じ分だけ親もまた老いていくため、親孝行するチャンスは着実に減っていくものだ。英国では先日、夏に結婚を予定していたカップルが、重病の母親の容体が悪化したため急遽自宅で結婚式を決行。“最後の親孝行”に、いつも娘の晴れ姿を見たがっていた母親は涙を流して喜び、式開始から10分後に人生の幕を下ろしたという。  

英南西部グロスターシャー州ルアディーンで2月16日に結婚したジェンマ・ラッセルさんと夫のダレンさんは、当初、今年8月に結婚式を挙げる予定だった。しかしジェンマさんの母親、スーザン・ホープさんは「乳がんと3つの脳腫瘍に冒されていた」(英紙デイリー・エクスプレスより)状態。命の残り時間はそう長くないと見られていたが、2月に入り肺も患い、容体が急変する。

日に日に呼吸数が減り、心拍数が遅くなっていったというスーザンさん。英紙デイリー・メールによると、2月16日に訪れた看護師は「夜まで持たないだろう」と、ジェンマさんに深刻な状態であることを説明したという。これを聞いたジェンマさんは、ダレンさんとすぐに結婚式を挙げようと決断。英南東部カンタベリーの大主教によって結婚を行う予定だったジェンマさんは、すぐに代理牧師に相談。この牧師が大主教の事務所に連絡を取り、動けないスーザンさんのために「2月16日に自宅で結婚式を挙げても良い」と許可を出したそうだ。

「母はベストフレンドだった」と話すジェンマさんは、昔から「お母さんが式に出られなければ、私は結婚しない」(デイリー・エクスプレス紙より)と固く誓い続けてきたという。それだけに、すぐに結婚式ができるようになり、ジェンマさんも大喜びでスーザンさんに報告。すると、スーザンさんの鼓動は速くなり、ジェンマさんは「良くなったように思えた」そうだ。そして話を聞いたスーザンさんは彼女の手をぎゅっと握り、それは「母が急いでと言っているようだった」(同)とジェンマさんは振り返っている。

こうして2月16日午後1時45分から急遽自宅で執り行われることになった結婚式。当然式の準備はほとんどできず、主役の2人は「ジーンズにTシャツ」という格好で臨んだ。それでも、牧師の前で誓いを交わす娘の晴れ姿を見たスーザンさんは、涙を流して結婚を喜んだそう。一連の儀式を終えたジェンマさんは、ベッドに駆け寄ってスーザンさんを抱きしめ、涙を流していたスーザンさんはそこで最後の一呼吸行うと、午後1時55分に永遠の眠りについた。

「ダレンとの幸せな一時でもあったけど、母親と過ごす最後の時間にもなってしまった」(デイリー・メール紙より)と、結婚式が悲しい思い出になったとも感じているジェンマさん。しかし、母親が目を閉じる直前に結婚式を挙げられたこと自体は「嬉しい」とも語っている。一方、夫のダレンさんは「娘の結婚を見たいという彼女の願いが、命を持ちこたえさせたんだ」(同)とコメント。そしてスーザンさんの人生終焉のときを「まるで、とても悲しい結末のおとぎ話みたいだ」(同)と表現している。

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