2,000人の子孫を抱えた93歳の女性、大きく広がった血の繋がりに誇り。

2010/02/24 11:12 Written by Narinari.com編集部

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いつの世も夫婦が力を合わせて作った子どもは宝物。親なくして子は生まれず、子なくしては血は繋がっていかない。その連続が一族を増やし、子孫の繁栄へとつながっていくが、米国には家族や子ども、そして血の繋がりを何よりも大切に想い、18人の子ども、200人の孫、ひ孫や玄孫を含めると約2,000人もの子孫を抱えた93歳の女性がいた。  

この女性は、今年1月4日にニューヨークで生涯を閉じたイッタ・シュワルツさん。1916年、ハンガリーで生を受けたシュワルツさんは、敬虔なユダヤ教徒として生涯を貫いた。シュワルツさんの宗派は、特に大人数の集団が尊ばれるのが特徴で、米紙ニューヨーク・タイムズは「この宗派のカップルは、平均9人の子どもを持つ」と説明している。シュワルツさん自身も30年以上前に亡くなった夫ヨセフさんとの間に18人の子どもをもうけ、その宗派の中でも「シュワルツさん一家の大きさは、驚くべきサイズ」だったという。

そんなシュワルツさんの生涯は波乱に満ちている。ハンガリーで夫と結婚したシュワルツさんは、6人の子どもをもうけたところでナチス・ドイツの侵攻が始まり、国内を転々としながらの逃亡生活に。終戦間際にはナチスの強制収容所送りに遭い、半年間過ごす間に子ども2人が亡くなった。終戦後、一家はベルギーのアントワープで難民生活を送ったあと、1953年に米国へ移住。「多くの信奉者と同じく、神への賛辞として子どもを産もうと考えていた」というシュワルツさんは、移住の際にはすでに11人の子どもを抱えていた。それからも神への気持ちが薄らぐことなく子どもを産み続け、さらに5人の子どもに恵まれる。

ニューヨーク・タイムズ紙はシュワルツさんの一族を、現在も存命の子どもが15人、孫が200人以上、ひ孫や玄孫を含めた子孫が約2,000人と紹介。大きく広がった血の繋がりを、彼女はとても誇らしく思っていたそうだ。

家族1人1人を大切にしていたシュワルツさんは、子や孫の誰からも愛される存在でもあった。ひ孫の1人は「彼女はすべての孫の名前を覚えていて、不思議な能力を持っていた」(米紙タイムズ・ヘラルドレコードより)と語り、電話を受けたときに誰からかかってきたのか、声だけで判別できたという。晩年のシュワルツさんは孫たちの結婚式や宗教的儀式にも欠かさず出席し、毎日どこかに出かける生活だった。子どもや孫関連のイベントが重なる場合も多く、彼女の6番目の子どもである64歳の娘は「みんな、彼女の取り合いをしていました」(ニューヨーク・タイムズ紙より)と話している。そのため、シュワルツさんの息子の1人が“マネジャー役”を務め、スケジュールの調整をしていたそうだ。

1972年の時点で少なくとも170人の孫を抱えていたというだけに、30年以上前に夫が亡くなったあとも娘の1人が「1分とて、彼女が未亡人には思えなかった」(タイムズ・ヘラルドレコード紙より)と言うほど、一族に囲まれながら生活を送っていたシュワルツさん。存命中は写真を撮られるのが嫌いで、家族には「自分の写真を撮る代わりに心に刻むように」と願っていた。これからも大きく広がるであろう子孫の心の中に、シュワルツさんは存在し続けていくに違いない。

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