「改造掃除機」で壁をよじ登る男、英科学番組でパフォーマンスを披露。

2010/02/19 10:45 Written by Narinari.com編集部

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まるで「スパイダーマン」の如く、壁を這うように登っていける機械。そんな機械を、掃除機をベースに制作した科学者が英国にいる。先日、この機械を使って学校の壁を登るというパフォーマンスが行われ、見物に来た人たちを驚かせたという。

39歳の男性、ジェム・スタンスフィールドさんは英放送局BBCの科学番組「Bang Goes the Theory」に出演する科学者。番組サイトの紹介ページによると、スタンスフィールドさんは航空学を学んで溶接の資格を持ち、以前は映画の特殊効果の仕事に携わっていた。こうした経験を生かして、これまでに「世界初の『空気で動くオートバイ』や『水の上を歩けるブーツ』を発明」した彼に、番組は「おかしな機械や奇妙な道具が欲しい」とお願いしているそうだ。

そして先日、スタンスフィールドさんは「おかしな機械」を携えてイーストサセックス州にある学校を訪問。英紙デイリー・テレグラフによると、彼は持参した機械を使って高さ9メートルの学校の壁を登り、壁面にひっかかっていたバトミントンのシャトルを拾って降りてきたという。体重約76キロながら、ヘルメットなどの防護・安全装置なしでパフォーマンスを見せたスタンスフィールドさんに、見物していた人々も大いに驚いたそうだ。

「“スパイダーマン”バキュームグローブ」と名付けられたこの機械は、昨年、番組の中でスタンスフィールドさんが制作したもの。その様子はYouTubeに投稿されている動画「'Spiderman' Vacuum Gloves Part 1 - Bang Goes the Theory - BBC One」(//www.youtube.com/watch?v=XNOEP1XIFiM)などでも見ることができる。

動画でスタンスフィールドさんは、「板に取り付けた小さな四角いポリ容器に穴を空け、そこに掃除機のノズルを差し込んで空気を抜くと、強い吸着力が生まれる」ことを説明。真空状態の範囲が広がるほどより強い吸着力が生まれるという原理を利用すれば、「自分の体重を支えて壁をよじ登る“スパイダーマン”バキュームグローブを作れるよ、たぶん」と話している。

用意した材料はベニヤ板と2台の掃除機。ティートレイ(茶盆)程度の大きさのベニヤ板で“グローブ”部分を作り、そこに掃除機のノズルを繋げるという、極めてシンプルな構造の機械だ。

まず、天井に見立てた板に張り付くかどうか実験すると、あっさりぶら下がることには成功。しかし、垂直な壁で試してみると、張り付いたまま下に滑り落ちて失敗してしまった。そこで壁面と密着させるためにゴムの利用を発案。自転車のチューブを加工してベニヤ板グローブの外枠に貼りつけると、垂直の壁で実験しても滑り落ちることなく、「“スパイダーマン”バキュームグローブ」が完成した。

番組では完成したグローブの実用性を測ろうと、観客を集めてBBCの建物をよじ登る実験を決行。高さ約36メートルの建物の壁に向かうと、スタンスフィールドさんは器用に左右の板を操ってスイスイと登っていった。その合間合間でカメラに向かって語りかけ、片手を機械から離したりしていることからも、その吸着力の強さが伝わってくる。

「自分の作品が将来の科学者たちを触発するものになれば」(英紙デイリー・メールより)と話すスタンスフィールドさん。「身の回りの物を理解すれば、自分のために活用できるということを子どもたちに教えたい」と、学校でパフォーマンスする意義を語っている。そんなスタンスフィールドさんの次なる挑戦は、「ロンドンからマンチェスターまで(約260キロ)、コーヒー豆で動く車を走らせること」だという。

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