父に80歳男性との結婚強制された12歳少女、離婚訴訟を突如取り下げる。

2010/02/05 11:10 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


現代の日本では恋愛やお見合いから結婚に至るケースがほとんどだが、世界にはいろいろな文化や伝統、宗教観があり、本人の意志が介在しない結婚が行われる場合も未だ多々ある。今年1月、サウジアラビアでは12歳の少女が父親によって80歳の親類男性と強制的に結婚させられたと地元紙が報道し、同国でも大きな注目を集めた。少女は母親とともに離婚訴訟を起こして裁判を進めていたが、先日、少女側が突如訴えを取り下げ、結婚生活の継続を決断。関係者も驚きを示しているという。

サウジアラビア紙アラブニュースによると、話題になっているのは、カシーム州ブライダフで80歳の男性と結婚した12歳の少女。この少女は、父親が80歳の親類男性から8万5,000リアル(約200万円)を受け取った代わりとして、男性との結婚を強制された。サウジアラビア紙アル・リヤドはこの結婚について、「父親は彼女の年齢を考慮せず、身体的発達から結婚を決めた」と伝えている。これを知った母親は結婚に反対したが、少女の父親とは離婚していたため「発言する権利がなかった」そうだ。

そこで母親は、国家人権委員会に「結婚は無効で、娘は男性に強姦された」と訴え、委員会も即座に調査を開始。少女も電話取材した地元ジャーナリストに対して「彼といたくない。助けて」(アラブニュース紙より)と漏らしたと伝えられている。

そして今年1月には、少女の法定代理人と父親、80歳の男性を呼んで2日間にわたって話を聞き、さらには地元首長や裁判所の関係者、結婚を承認した当局者からも意見聴取を行った。この中で、少女は結婚に同意していなかったことが分かったほか、男性は「数日中に少女と離婚する」と、委員会の関係者に約束したという。

実はサウジアラビアには結婚の年齢制限に関する法律がない。そのため、2008年にも10歳の少女が60歳の男性との結婚を強制されるなど「子どもが結婚する事件は、ここ数年サウジ社会が抱える問題の1つ」(アラブニュース紙より)になっている。しかし、同国は国連総会で採択された子どもの権利条約や女子差別撤廃条約に批准していることで、結婚の最低年齢の設定を求められるなど、人権団体からの圧力を受ける機会も増えているそう。こうした流れもあり、今回のケースでは国が迅速な対応を迫られたようだ。

委員会の調査は進み、裁判所も結婚の取り消しに向けて動き出したとされ、少女の離婚に向け、ことは順調に進んでいるように思われた。ところが、2月1日に裁判所で行われた審理に少女は現れず、母親と法定代理人が離婚の訴えを取り下げると申し出て、話は急転直下。少女は80歳の男性と結婚生活を続けることになった模様だ。法定代理人は少女が欠席した理由も語らず、人権委員会関係者も「どうして気持ちが変わったのか、誰にもわからない」(アラブニュース紙より)と困惑。ただ、結婚継続となった80歳男性は「間違ったことはしていない」と主張し、「契約は有効で、すべての結婚条件を満たした」(同)と話しているという。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.