中国の「日本人お断り」レストランはどんなところ? 潜入してみた。

2010/02/02 15:50 Written by Narinari.com編集部

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近年、中国人の日本や日本人に対する意識に変化が起きつつある。例えば1月に中国紙環球時報が行ったアンケート調査では、中国の15〜20歳が選ぶ「最も好きな国」で日本がトップになるなど、好意的な対日感情を抱く中国人も決して少なくない。また、実際に中国で生活をしてみると、若年層のみならず、30〜40代からも反日的な意見を聞くことは滅多にないのが実情だ。しかしそうした流れの中にあっても、街中を歩いているとごく稀に反日感情を前面に押し出した光景に出くわすことがある。

そのひとつが「日本人お断り」のお店の存在。産経新聞が2006年に湖南省鳳凰の「日本人お断り」飲食店を、2009年に雲南省昆明の「日本人と犬お断り」飲食店を取り上げたことなどを通して、多くの日本人がこうしたお店の存在を知ることになったが、経済発展著しく日本人の往来も多い広東省深センにも、「日本人お断り」の看板を堂々と掲げたレストランがある。そこで、いったいどのようなお店なのかを探るべく、ナリナリドットコムの中国特派員が同店に潜入。店内の様子を確認してきた。

このレストランの名前は伏せておくが、オープンは1997年で、現在深センに3店舗構えている。キャッチコピーは「都市にある狼の洞窟(すみか)」で、店内は洞窟をイメージした薄暗い雰囲気だ。昼はランチ、夜はお酒が楽しめるレストランバーとなっており、客は20〜30代が中心。ウッド調の内装は深センでは珍しく、カップルで訪れる客も多いようだ。

レストランの入口には「軍国主義者 日本人不准内」(軍国主義者の日本人おことわり)と書かれた名物看板。その上には「中国初の“日本人お断り”レストラン」と書かれた別の看板も掲げられている。

今回は、客が少ないと思われるランチとディナーの間を見計らって潜入を試みた。すると予想していた通り客は少なく、カップルが1組食事をしているのみ。入店時に「日本人かどうかを確認されたらどのように答えようか」と頭をフル回転させながら考えていたが、そのような確認は一切なかった。

同店は「西部的食物」と謳っているだけに、料理はステーキなどの肉料理が中心。そのほかにも炒め物やスープ、火鍋など種類は豊富で、骨をかたどったメニューは10ページ以上もある。価格は1品30元(約400円)前後で、中国の大衆食堂よりはかなり高いイメージだ。試しに豆腐鍋とバナナフリッター(バナナの天ぷら)を注文してみたが、料理の味は決して悪くなく、「日本人お断り」であることが少し残念に思われた。

また、「反日」を連想させる名前が付いた料理があるのでは? と入店前に考えていたのだが、実際にはそうしたことはなく。いたって普通の料理名で、少々肩透かしを喰らってしまった。

「このお店のどこが反日なのだろう」。次第にそう感じている自分がいたが、トイレに立ったときに“それらしきもの”を発見することになる。トイレの壁紙にはさまざまな張り紙が貼られており、そこには「小泉支持禁止」「日本円の取り出し禁止」などの文言。また、小泉純一郎氏と毛沢東氏の対話形式のコントも張り出されていたが、それらは「自由のために以下の法案を可決する。/1.思いっきり下品であれ /2.大きな音のオナラを放て」といった冗談めいた言葉とともに書かれているため、本気と捉えて良いのかよくわからない。

窓際の席に戻って外を眺めていると、ときどき通りすがりの人が立ち止まっては店の前の看板を見ていることがあった。中国のグルメ情報サイトに掲載されている同店の評価欄には、「日本人お断り」について「面白い」「興味深い」と賛同の声が多々あり、刺激的な看板は客寄せにある程度貢献しているようだ。しかし、あるコメントには「『もし本当に日本人が来たら拒絶するのか』と質問したところ、店員は『拒絶できない』と答えた」とも記されており、「日本人お断り」を徹底しているというわけではないらしい。

とはいえ、同店のポリシーはあくまでも「日本人お断り」。たとえ興味があろうとも、無用なトラブルに巻き込まれないよう、訪れるのは止めておいたほうが良いかもしれない。

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