100歳の元女性教師に学士号認定書、生涯の夢が叶うも翌日に死去。

2010/01/31 04:43 Written by Narinari.com編集部

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米国で教師を長年務めていた100歳のおばあちゃんは、40年以上前の定年間際でも学士号を取得するために大学の授業を受けるほど、勉強熱心な女性として知られていた。視力低下により、ある時を境におばあちゃんは大学に通えなくなったが、以降もずっと「学士号を取得したい」と願っていたという。そして、その希望は思わぬ形で実現されることになった。

米紙ワシントン・ポストや米地方紙キーン・センチネルなどによると、ニューハンプシャー州コンコードのホスピスで暮らしていたハリエット・エームズさんは、1月2日に100歳を迎えたおばあちゃん。エームズさんは1931年に、短大にあたるキーン・ノーマル・スクール(現在のニューハンプシャー州立大学キーン・ステイト・カレッジの前身)で教員免許を取得して、教師の道を歩みだした。生徒たちからも慕われたエームズさんは20年以上にわたって教師生活を送り1971年に引退。その間、熱心に生徒を指導する傍ら、自身もさらなる高みを目指して、キーン・ステイト・カレッジとプリマス・ティーチャーズ・カレッジの2つの大学に通い、専門科目の講義を受けていたという。

エームズさんが目指したのは、教育学の学士号を得ること。仕事をしながら一生懸命大学の講義を受講していた彼女だったが、年齢から来る視力低下が著しく、教師生活の引退とともに大学へも通えなくなってしまった。向上心を持ち続けて勉強をしていたエームズさんにとって、志半ばで挫折したことは大きな心残りとなったようで、娘のマージョリー・カーペンターさん曰く「『死ぬ前にやりたいことリスト』の一番上に『学士号の取得』があった」(ワシントン・ポスト紙より)ほどだ。

そんなエームズさんに転機が訪れたのは昨年の話。出身校でもあるキーン・ステイト・カレッジが創立100周年を迎えるにあたって記念映画を撮影し、その中で卒業生代表としてエームズさんがインタビューに応じることになった。インタビューの中でエームズさんは、学士号の勉強を途中で止めてしまった話も披露したそう。そして、それを見た大学関係者は、エームズさんの実績が学士号認定に値するかの調査を開始した。

大学当局は、これまで彼女が提出した課題レポートなどを細かくチェック。1月2日の100歳の誕生日以降はそのピッチを上げて、検討を重ねた。その結果、エームズさんは学士号認定の条件を満たす成績を残していると判断。認定証を送る決定が下された。

50年以上前の教え子であるノーマ・ライト・ウォーカーさんが、先日、エームズさんの家を訪れた際にこの話を伝えると、彼女は涙を浮かべて喜んだという。最近は体調が優れず、元気がなかったエームズさんだが、話をしたウォーカーさんに「学士号がもらえると分かったから、もし明日死んだとしても私は幸せ」と語ったそうだ。

そして、100歳を迎えて3週間後の1月22日、エームズさんの手元に学士号取得の認定証が届いた。しかしそのときすでに健康が悪化し、投薬治療を受けていたエームズさんは、翌日に人生の幕を下ろしたという。娘のカーペンターさんは「大学側の大きな配慮に、本当に感謝したい」(キーン・センチネル紙より)とコメント。「彼女は認定証をもらって本当に満足していました」(同)と、人生最後の幸せを味わった瞬間のエームズさんの様子を話している。

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