韓国保健省が子作り奨励、帰宅促すために月1度はオフィスを強制消灯。

2010/01/24 13:23 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


いま、先進国を中心に深刻な問題となっているのが少子化の流れ。日本でも未婚率の上昇や晩婚化、雇用不安といった“子どもを作りにくい環境の問題”が山積し、将来的に高齢者を支える基盤や経済規模の縮小といった懸念が上がっている。お隣の韓国も、似たような少子化問題を抱えているが、この問題を管轄する保健福祉家族省が、先日、率先してある対策を打ち出した。それは毎月第3水曜日に同省内を19時で完全消灯するという試みで、職員に「早く帰宅して子作り」するよう奨励しているという。

英放送局BBCなどによると、この試みが始まったのは1月20日から。チョン・チェヒ保健福祉家族大臣は2008年9月の就任当初から出生率の上昇を優先課題に掲げており、その対策の一環として今回の完全消灯が実行に移された。韓国は2000年の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの推計値)が1.47だったのに対し、2005年には1.08まで下落。2008年は1.19まで回復を見せているが、それでも日本の1.37(2008年)を下回って世界最低水準となっており、急激な少子化傾向に危機感を強めている。

加えて公務員全体の出生率平均は1.82だが、保健福祉家族省の職員はこれよりも下。率先して対策を打つべき省にとっては“皮肉”な状況だ。その原因は職場の忙しさにあると見られ、省内では数年前から早く帰宅するよう促していたが、現実には職員の多忙さは変わらず。そこで打ち出されたのが、毎月第3水曜日に省を挙げて強制的に帰宅させる「ファミリーデー」というイベントだった。

この日は19時をもって省内の電気を完全に消灯。職員は真っ直ぐ家に帰って家族サービスに時間を使うよう奨励するとともに、「より多くの子どもを」と同省は期待をかけているという。完全消灯の実施は同省では初めての試みで、スポークスマンによれば「プレスルームだろうが、例外なく電気を消す」(韓国紙コリア・タイムズより)という徹底ぶり。当面は「職員の子どもの数を平均2人まで増やすのが目標」と話している。

そのほか、同省は男女関係なく育児休暇取得による不利がないよう注意を払い、例えば1歳未満の子どもを持つ女性職員に柔軟なスケジュールで対応するなど、職場環境も整えるそう。大臣は「高齢者を支える子どもたちが、大きな負担を抱えることになるという問題は差し迫っている」(コリア・タイムズ紙より)と、少子化対策が緊急を要する最重要課題であるとの認識で、まずは出生率が低水準だったおひざ元から手を打った形となった。

ちなみに、同省は「結婚して出生率を向上させて欲しい」との考えから、未婚職員に出会いの機会を斡旋する試みも1月7日に発表している。具体的には、同じビルに入っている民間企業で働く人や周辺の省庁職員との合コンやサークル活動の場を同省が率先して設けるという施策。こうした試みがどの程度の効果をもたらすかは未知数だが、数年後に改善の報告が出されるのか、注目しておきたいところだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.