「息子は親不孝!」と隣人に財産を分与、息子は提訴も裁判所が却下。

2010/01/22 20:55 Written by Narinari.com編集部

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いつの世も、どこの国でも、トラブルの原因になりやすい遺産相続。配分をめぐって親族間で争いに発展することも珍しくないが、それがもし、血縁関係のない赤の他人が相続することになったとしたら、親族の心中は穏やかではないだろう。しかし、他人に財産を譲るという大きな決断に至るまでには、不義理や親不孝など、それなりの事情が必ず存在している。 

中国・上海で一人暮らしをしている80歳の張さんには、息子が一人いた。この息子、いつの頃からか張さんには無関心になり、特にここ数年は年老いた張さんの面倒を見ることもほとんどなかったという。

そんな張さんのことを不憫に思ったのか、隣人の女性は張さんの面倒を見ていた。女性は時間を見つけてはご飯を作ったり、掃除をしたりと家事全般をこなし、少し離れた場所に引っ越した後も引き続き面倒を見ていたというのだから、何とも心優しい。また、祭事などの際には、孤独な張さんを楽しませようと、自宅に招待することもあった。

こうした献身的な態度に、張さんが家族以上の“つながり”を女性に対して抱くようになったのは自然なことだったのだろう。家族とは言え自分のことをまったく気にかけない息子と、家族でなくとも自分のことを常に気にかけてくれる隣人。どちらが張さんにとって重要な存在だったのかは想像に難くない。

そして、次第に張さんは「この女性にお礼をしたい」と強く思うようになり、自分の財産を女性に引き渡すことを決意。遺言状を書き記すとともに、2007年11月には固辞する女性の銀行口座に無理やり財産を移してしまった。ただ、これを知った息子は激怒。2008年4月、「父親は痴呆症で判断力がなかった」として、財産の返還を求めて女性を訴えた。

しかし、裁判所は息子の請求を却下。張さんの行為は「痴呆症によるもではなく、真実の行為である」と判断し、結果として財産はすべて女性に引き渡されることになったという。

中国ではいま、「一人っ子政策」で育てられた子どもと親との希薄な関係が社会問題化。高齢化が急速に進む中国では、希薄な親子関係を背景にした扶養・介護問題も表面化しており、遺産相続に関する争いも絶えない状況となっている。

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