好きな相手と出会い、恋に落ちる。最初はどちらか一方の想いであっても、ステップを踏みながら親密になり、やがて2人は恋人に――。一般的に交際をスタートさせるまでには、相手が自分に好意を持ってくれること、自分と好みが合うことなど、さまざまなハードルが待ち受けている。自分が求める相手と交際するまでの道のりは険しいが、それ以前に、たくさんの人の中から2人が出会えるかどうかは、最初にして最大のハードルと言っても過言ではない。英大学で助手として働くある男性は「なぜ、自分に彼女ができないのか」を考え、頭をフル回転。得意の数学を生かして「自分の『理想の彼女』と出会う確率」を計算したところ、弾き出された確率はかなり低いものだった。
この計算に挑んだのは、英ウォーリック大学で経済学の助手を務める30歳のピーター・バッカスさん。研究を始めた当時、彼女いない歴3年で新たな出会いを求めていた彼は、実際に行動を起こす前に頭を使ってその可能性を探った。バッカスさんは「ドレイクの方程式」と呼ばれる計算式を応用し、「自分が理想の彼女と出会う確率」の計算に挑戦。この自分のために行った研究は、ウォーリック大学のサイトにも論文として発表されている。
「ドレイクの方程式」は1961年に米国の天文学者フランク・ドレイク氏が、銀河系内に地球外生命体がどの程度存在するのかを推定するために考案した方程式。7つのパラメータから数字を導き出すもので、ドレイク氏は計算結果から「銀河系内にコミュニケーションが可能な地球外生命体がいる星は10個」と推定している。
これを広い意味で解釈すると、コミュニケーション可能な生物がどれくらい存在するかを推定するのが「ドレイクの方程式」。バッカスさんは、方程式に埋め込む数字を英国の人口や女性の数に置き換えることで、「自分が求めている女性がどれくらい存在するのか」を弾き出せると考えた。
彼はまず、英国の人口や過去60年間の人口増加率、女性の割合などの数字を調査。さらに自分が求める条件として「ロンドン在住で24歳から34歳までの女性の割合」「ロンドン在住の大卒女性」といったものも含めた。ここまでは調べることで数字が分かったようだが、問題は「ロンドン在住の大卒女性で、自分が魅力的だと感じる女性の割合」という項目。バッカスさんは「これは推定するのが難しいパラメータ」と認め、少しアバウトだが「大まかに考えて、大卒女性の5%としましょう」としている。
自分の条件だけでなく、「女性の未婚率」「性格が合う確率(1/10)」といった条件も加味して計算した結果、弾き出された数字は「26」。つまり、バッカスさんが求める女性を英国人に限ると、約3,000万人(英国の人口は約6,000万人)のうちの26人が潜在的な「理想の彼女」ということだ。さらに「ある晩、ロンドンで26人のうちの1人に出会う確率」を計算すると、0.0000034%という結果。この数字にバッカスさんは「励みにもならない」と、ウォーリック大学のホームページにつづっている。
しかし、実はバッカスさん。落胆しているのかと思いきや、米フォックスニュースなどのインタビューでは、「現在は交際6か月のロンドン在住のガールフレンドがいる」ことを明かしている。この女性は彼が求める「すべての基準を満たしている」理想の相手とのことだ。