最愛の父を失い引きこもり、17歳で約3億円当てた男性が29歳で孤独死。

2010/01/09 11:46 Written by Narinari.com編集部

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宝くじを買う人なら、誰しも大金を手に入れて“バラ色の生活”を送りたいと願うもの。もちろん、当選すれば素晴らしい出来事に違いないが、当選金の額が大きく、生活に大きな変化を及ぼす人ほど、“バラ色の生活”を手に入れるのは難しいことなのかもしれない。1997年、英国で17歳にして190万ポンド(約2億8,000万円)をロトくじで当てた男性がいた。歓喜の瞬間を手に入れた彼は、学校や仕事を辞めて友だちと遊ぶ毎日。しかし、ほどなくして男性は最愛の父を失い、ショックから家で1人閉じこもる生活を始め、先日、ひっそりと自宅で亡くなっていたところを親類に発見されたという。

29歳で亡くなったスチュアート・ドネリーさんは、1997年に英国のロトくじ「ナショナル・ロッタリー」を購入し、人生の転機を迎えた。彼が5ポンド(約740円)を投じて買ったくじは、選んだ6つがすべて的中する1等に当選。賞金2,500万ポンド(約37億円)が、当選した12人によって分けられ、ドネリーさんは190万ポンドを獲得する。それまで病気がちの父とスコットランド・グラスゴー近郊の公営団地で暮らし、学校で薬剤師の勉強をする傍ら、薬局でのアルバイトで得る週60ポンド(約8,900円)の収入で生活をしていたドネリーさん。「190万ポンドの小切手をもらうために向かう、バスの運賃さえも借りなければならなかった」(英紙インディペンデントより)という生活は、大きく変わった。

当選後、すぐにドネリーさんは学校を中退しアルバイトも辞める。マスコミの注目を集め、自宅の周りには金にたかろうとキャンプをする人まで現れたそうで、本人や家族は心休まる暇がなかったという。そんな鬱憤を晴らすように「休暇には、友人を連れてタイへ旅行」(英紙デイリー・メールより)など、彼は大盤振る舞いを始めた。昨年まで日本代表の中村俊輔選手(現エスパニョール)も在籍し、ファンだったというセルティックをスタジアムで応援するためとあらば、2,000ポンド(約30万円)もする特別席のチケットを購入。それまでの厳しかった生活が嘘のように、遊び方は贅沢になっていった。

その一方で、しっかり持ち合わせていたのが優しい一面。離婚して別に暮らす母と2人の兄弟のために9万ポンド(約1,300万円)の家を、病気を患う父と自分のために16万9,000ポンド(約2,500万円)で豪華な別荘を買った。さらに、遺伝子上の問題を抱えていた弟が治療を受けていた病院に、1万5,000ポンド(約220万円)を寄付し、「ほかの親類にもお金を分けた」(インディペンデント紙より)という。財政的にも身体的にも支えてもらい、常に息子を自慢していた父親だったが、1999年に不幸が訪れた。

ドネリーさんがタイへ旅行に出かけていたとき、父親は心臓発作を起こしてこの世を去る。寄り添うように暮らしていた最愛の父の死に、ドネリーさんは大きなショックを受け、それ以降家からほとんど出ない引きこもり生活になったそうだ。彼が登録していたSNSの「bebo」の自己紹介欄には、「幸せなとき」という項目に「基本的に、家を出ないならいつでも」とも。最近は母親とも連絡を取らなくなり、孤立した生活を送っていたという。

そして1月7日、親類が様子を伺いにドネリーさんの家を訪ねたところ、亡くなっている彼を発見した。英紙デイリー・エクスプレスによると、警察は死因について「アルコールと薬を偶然に過剰摂取したもの」であることを明かし、自殺の可能性や事件性は否定。突然のドネリーさんの死に、「bebo」のコメント欄には、「安らかに眠って」という書き込みも続々寄せられている。

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