家族の反対振り切り“冒険”へ、「充実した時間を」と旅に出た46歳主婦。

2009/12/27 10:12 Written by Narinari.com編集部

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結婚生活26年目を迎えた46歳のある主婦は、夫と子どもたちに囲まれて過ごす日常に不満はないものの、どこか人生に物足りなさを感じていた。「充実した時間を過ごしたい」。いつの頃からか芽生えた願望が抑えられなくなったこの主婦は、英国のロンドンからオーストラリアのシドニーまで、17か国をバスで巡るツアーに参加することを決める。独身ならいざ知らず、家族を置いて3か月もの長旅に出ても良いのかと葛藤し、家族に反発されながらも、旅は今年9月にスタート。そして先日、無事にゴール地点へと到達した。

英ケント州在住のジョー・トンプソンさんは、夫と4人の息子の6人暮らし。結婚から26年、これまで家事や育児に自分の時間を捧げ、一番下の男の子も13歳と大きくなった。子どもたちの手が掛からなくなり、自分の時間を多少なりとも得る中で、「失われた青春を取り戻したい」との想いが芽生えたという。

「これが私の人生じゃない」と考えたトンプソンさんが、そのとき出会ったのが、3か月でシドニーまで旅行するバスツアーだ。欧州から中東、南アジアを抜けてオーストラリアに至るバスツアーの参加代金は4,400ポンド(約64万円)と、決して安くはないものの、トンプソンさんはすぐに申し込むことにした。

しかし、旅行に出ると食事やビザなどの必要経費として、さらに7,000ポンド(約100万円)近くのお金を用意しなくてはならない。家族の生活費や今後の子どもの学費を考えると、母親として“罪の意識”も感じたそうだが、行きたい気持ちがそれを上回っていた。問題は家族への説得で、食事の最中にさりげなく話を切り出すと、子どもたちは「自分勝手だ」と怒り、夫は「狼狽して頭を振っていた」そう。ただ、家事を取り仕切ってきた母親の“冒険”を、結局男性陣は止めることができず、家族の悲しげな眼を背に、母親はウキウキな気分で9月6日にロンドンを出発した。

バスツアーは、英国から海を渡ってフランス入りすると、ベルギー、ドイツ、チェコなどを斜めに縦断。トルコからイラン、パキスタンを経由してインドに入り、途中でネパールにも立ち寄った。そして空路タイへ移動すると、マレー半島を南下し、マレーシア、インドネシアを経てオーストラリアへ入国。全行程は約2万7,000キロという長旅だ。

トンプソンさんはこの間、週2回のペースでデイリー・テレグラフ紙に旅の様子を投稿。“冒険”に出た主婦の目に映った世界がどのようなものなのか、レポートをしていた。

初の国境越えとなったドーバー海峡では、英国に残る子どもの心配をしながらも、ようやく世界に飛び出した実感が湧いたトンプソンさん。順調な行程に初めてブレーキがかかったトルコ・イスタンブールでは、ホテル滞在中に盲腸になった。中東に入ると、人々の生活環境の厳しさと文化の違いにショックを受け、中でもトイレを受け入れるのは難しかった様子。それでも、欧州にはない幻想的な風景の連続は、トンプソンさんの心に強く焼き付いたそうだ。ただ、インドだけは合わなかったようで、その景色は絶賛しているものの「正直、離れるのが待ち切れなかった」とも。

また、一緒にツアーに参加していた25人の仲間もときどき登場。彼らのことは「誰の母でもなければ、妻でもなく、隣人、従業員でもなかった」とつづり、幅広い年齢層の仲間と対等に接していられたことは新鮮な体験だったようだ。

そんなツアーは、12月にゴール地点のシドニーに到着。バスシートでの寝方を覚え、買い物に行くのが好きではなくなったというトンプソンさんは、予定はないものの次の旅行が待ちきれないという。

思い切って“冒険”に飛び出した4人の子どもを持つ主婦のレポートには共感した読者も多かったようで、12月24日に更新された最後のレポートには「素晴らしい冒険と喜びを与えてくれてありがとう」「すごい旅行をしたあなたに、私は敬礼する」と、旅行の素晴らしさや、「主婦だから……」と諦めない強い気持ちに感動した人からのコメントが並んでいる。

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