50年以上の歴史を持つ英国防省のUFO部門、“ひっそり”と閉鎖が決定。

2009/12/05 15:22 Written by Narinari.com編集部

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宇宙人の乗り物なのか、軍事兵器なのか、はたまた単なる誤認なのか。その名が示す通り、正体がわからないことが多くの人の想像力をかき立て、関心を誘うUFO(未確認飛行物体)。近年はデジカメやケータイカメラの普及で、昔に比べるとはるかに撮影が容易になったこともあり、“証拠”とされる写真や動画を目にする機会が世界的に増えてきている。中でも英国は「UFOは脅威となるものなのか」を分析するべく、国防省が調査部門を設置。国民から広くUFO情報を募るなど、ほかの国とは少し異なる取り組みをしてきたため、新聞などでもたびたびUFOに関する話題が伝えられてきた。しかし12月1日、英国防省はひっそりと「UFO調査をやめる」と発表。英メディアの間で大きな話題を呼んでいる。 

公式サイトで発表された文書では、英国防省は「50年以上に渡り、UFOが英国に脅威をもたらし得るという証拠を示した報告はなかった」と言及。また、目撃された“何か”を明らかにする特別な能力はないとした上、「こうした調査には防衛に対する利益がなく、予算を不適当に使っている」と、財政上の観点から廃止を決定したことを示唆している。これにより、12月1日からは市民からの窓口となるホットラインとメールアドレスは無効化。「国防省はもはやUFO目撃の報告に応じず、調査もしない」そうだ。

英国の主要メディアがこの発表について伝え始めたのは12月4日頃から。国防省は公式サイト以外には情報を流していなかったようで、英紙デイリー・メールは「静かに中止された」と伝えるなど、これまで数多くのUFO情報を伝えてきた英メディアにとっても寝耳に水の発表だったようだ。

ただ、今回の発表に至るまでには、その前触れとも言える動きがあったという。デイリー・メール紙によると、2002年6月にUFO部門の人員を別の部門に異動させ、「年間4万4,000ポンド(約650万円)の節減に繋がった」そう。さらに今回の中止によって「年間5万ポンド(約740万円)の経費が浮く」(英紙デイリー・テレグラフより)との見方も出ている。大国の省庁の予算としてはそれほど大きな金額ではないが、世界的な不況の波が、「UFO部門の閉鎖」の一因になったようだ。

今回の発表について、専門家の間からは失望の声も聞かれる。シェフィールドハラム大学でジャーナリズムを教えているデイビッド・クラーク博士は、現実的な決定と理解を示しながらも、「(UFOという)面白い素材が喧騒に消されてしまうことになり残念」(デイリー・メール紙より)と語り、信頼できる調査機関の消滅によって、今後の目撃報告が“ただの話題”で終わってしまうことへの懸念を感じている模様だ。

1950年に発足した歴史あるUFO部門。世界のマニアも一目置く存在だっただけに、廃止の決定を残念に思っているのは英国民だけではないだろう。

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